消石灰が二酸化炭素を吸収して硬化していく気硬性の天然素材です。
一般にこう言われます。
原料となる消石灰は石灰石から造られますが、その際に石灰石から排出される二酸化炭素は消石灰が硬化するために同じ量を吸収しますのでカーボンニュートラルなのです。こうやって図にすると分かりやすいですね。
- 石灰石が焼かれて生石灰に…この時二酸化炭素を放出します。
- 生石灰が水と反応して消石灰に。
- 漆喰として使われ、二酸化炭素を吸着しながら硬化。
・・・間違ってますよ。
実際に石灰石はこのような窯で焼かれています。
「焼く」のです。800~1000℃くらいの高温で焼くのです。
お分かりですね?!
高温で焼くためにはハイカロリーな「燃料」が必要なのです。
このような窯では製鉄などと同じく石炭やコークスが使われています。
そこで発生するCO2は?
余分なものですね。
それゆえ漆喰はカーボンニュートラルというわけにはいかないのです。
ちなみに…「カーボンニュートラル」の意味はご存知ですよね?
製造や事業などで
排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ(中立)である
という意味です。残念ながら消石灰は排出量のほうが多い製品ですね。
古代史に詳しい方ならご存知ですが…古代マヤ文明の中心都市「ティカル」。世界遺産として、マヤ最大の神殿都市としても有名ですね。
Tikal, Guatemala / szeke
この都市が滅んだ原因は…都市全体を塗りつぶすように覆っていた漆喰。
それを作るために、石灰岩を焼く燃料となる周囲の森林を伐採しつくしたことによる環境破壊が文明の崩壊を引き起こしたんです。
Drought texture / sanderovski
ただし、たとえばセメントなど、他の建築材料に比べればまだまだ漆喰は環境負荷の少ない材料だそうです。
何事もホドホドがよいというお話ですね。