突然ですが問題。
漆喰とセメント。 その違いは何でしょうか?
塗って固まる。ということでは同じ。
粉を水で練って使う。ということでも同じ。
建築物で壁を作ったり、何かをくっつけたりするという目的もほぼ同じです。
ですが、まったく違うものなんです。
これまでも説明してきましたが、
漆喰は空気中の二酸化炭素と反応することで固まっていきます。
セメントは水と反応して固まる素材なんです。
まずは「固まり方」が違うんですね。
この違いがさらなる「違い」をもたらします。
空気中の二酸化炭素。近年でいえば酸性雨。
風雨にさらされるものはすべて酸化する環境下にあります。
鉄が錆びるのは酸化鉄(酸化第二鉄)に変化するから…と小学校で習いましたね。
同様に漆喰もセメント(モルタルやコンクリート)も酸化してしまうものなんです。
多くのヒトが「硬くて強い」と考えているのが鉄筋コンクリート。
鉄筋とコンクリートそれぞれの良い面を組み合わせて、頑強な構造となります。
が、弱点もあります。
コンクリートがアルカリ性を保っている間だけが強い素材なんです。
酸化が進行して鉄筋までが錆び始めたら、その強度は格段に低下します。
だから多くの建築物にはそれを防ぐためにペンキ(塗料)が塗られるんですね。
次に漆喰。実は漆喰は酸化することで固まるんです。
ゆっくりとした速度でアルカリ性から中性に変化していくことで、
その強度が上がっていきます。コンクリートとは相反する素材なんですね。
ではここでさらに問題。
コンクリートやモルタルの上に漆喰が塗られていたら、どうなるでしょうか?
漆喰が大丈夫でも、中のコンクリートが傷んでいる…といった不思議な現象が起きるわけです。
漆喰もセメントも万能ではないわけですね。
実は近年、そんな現象が多くみられるのが…お城。
鉄筋コンクリート造に漆喰のお城が戦後に多く建てられていますね。
ただ塗り替えるだけの補修で現在に至っているものが少なくありません。
代表的なものが大阪城。
平成の大改修ではアルカリ回復工事、剥落防止工事など
現代の改修技術の粋を集めた、まさに大改修が行われました。
http://www.osakacastle.net/history/haran/heisei.htm
規模は違えど、全国にある多くのお城が同じ状態に劣化していると思われます。
自治体の方々…簡単に塗り替えるだけでいい…なんてダメですよ。