漆喰の「性能」には様々なものがありますが、最も多い勘違いが「防水」です。
漆喰には防水性がある!という間違った常識があるようです。
なので、漆喰の防水性についておさらい。
お城や蔵のイメージが強いせいか「漆喰は高耐久の防水素材」と認識されているようですね。
さて、ここで注目すべきは昔と現代の建築事情の違い。
昔の家と比べ「軒(のき)」が大きく張り出した家って少なくなりましたよね?
軒先が出ていると、その分家が小さくなってしまいますから…30センチ、45センチ程度ですね?!軒先が90センチ以上出ているような家は少なくなってきました。
だから、子どもが書くような簡単な「おうちの絵」を描くとこんな違いがでるんです。
「今のおうち」。
そこでどんなコトが起きるか…壁にバシャバシャと雨がかかるのです。
漆喰はたっぷり水を吸う素材です。
だからこそ、ジメジメした日は湿気を吸い、乾燥しているときには湿気を吐く、住みやすい室内環境も実現するのです。
ということは雨にあたればあたるほど、壁の中まで水分が浸透するのです。
漆喰は硬化すれば雨で流れる素材ではありませんので見た目は大丈夫。
ただし、中に浸透した水は…漆喰を塗らないままの土壁であれば雨で流されてしまいます。
土壁のままよりは効果はあるわけですが…
昔ながらの住まいのツクリはご覧のとおり。
雨のあたるところとあたらないところで、しっかりと対策ができています。
雨があたっても大丈夫なのは「漆喰」だけ。内部への配慮が必要です。
「昔から使われてきたから、万能」ではありません。
でも最近、外壁に漆喰を塗る家って増えてますよね?
防水対策は大丈夫なんでしょうか?
構造的に雨がかかっても大丈夫なんでしょうか?
下地に防水シート張ってるから大丈夫?
下地モルタルは中性化しても大丈夫?
…心配でなりません。
ちなみに私は同様の相談を受けた場合「軒の出を確保できないならば、漆喰はあきらめて塗装かサイディングを!」と申し上げています。