伝統素材というよりも、漆喰というよりも、工法や文化史の分野なので、あまり得意ではないのですが…ちょっとだけお話します。
なまこ壁は蔵などで多くみられ、多種多様な独特のデザインを各地で観ることが出来ますね。
けれど、この壁、実はデザインではなく機能を求めて作られていたんです。
ナニで出来ているかというと、白い部分は漆喰。そして黒い部分は瓦。
ほら、壊れている壁をみるとよくわかりますね。
土壁に瓦が貼り付けられているんです。
ちなみになまこ壁じゃない壁だとどうなっているかというと、こんな感じ。伝統建築では雨が直接あたりやすい下半分は漆喰が使われていない建物が多いですよね?!
なまこ壁の目的は板張り以上に風雨や衝撃から守り、さらには火災から守るため。
瓦で覆い、漆喰で塗り固めていたわけです。
言ってみれば現代のタイルと同じ発想ですね。
少し古い民家をみれば、ほら、その変遷が良くわかりますよ。
それがいつのまにか和のデザインの一つになっていますね。
そして、そのデザインも時代や地域によって千差万別。
我が国には数々の海鼠壁(なまこかべ)が残されています。
街なかで見かけたら、よーく見てください。左官職人さんの技とセンスがしっかりと表現されている…はずです。