セッカイは我が国の大切な自給資源なんです。

2013/07/03

伝統素材

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琉球漆喰に土佐漆喰。さまざまな漆喰の紹介をしましたが…

共通しているのは原料。漆喰の主成分は石灰なんです。

 

漆喰はそのほとんどが消石灰から出来ています。

 

この白い粉、どうやって作るのか?

今日はその作り方を説明しながらおさらいです。

 


 

これが出来上がった「消石灰」。

 

まずは石灰石を用意します。大きさは大人のコブシくらいですね。

 

石灰石は石灰岩の鉱山から。

もともとそのほとんどが海の底だった日本。

各地に石灰鉱山があるんです。

 

まずはダイナマイトでド~ンと。

その後焼きやすいサイズに砕かれます。

 

 

まずは石灰石を焼くのですが…

 

「焼く」には燃料が必要ですね?

左官に使われる石灰を造る際には石炭やコークスが使われています。

 

石灰石と燃料とを交互に窯(かま)に投入して焼いていきます。

窯は江戸時代あたりから伝えられている「土中釜」というものが使われます。


石を焼く温度は800度から1000度くらいです。

 

そして焼く時に忘れてはならないのが「塩」です。

塩を加えることで石灰石が収縮しにくくなるほか、

還元効率が高くなるのと不純物を取り除くことができます。

 

石と燃料そして塩を何層にも重ね、

竪穴状の窯の中で自然通気でゆっくりゆっくり焼くんです。

 

3日ほど経って、焼成熱も冷めたところで取り出します。

焼けた石は白くなりましたね。これが「生石灰(きせっかい)」です。

 

さて焼いた後、今度は水を使います。生石灰に水をかけると…

あーら不思議。高熱を出しながら壊れていきます。

水と反応して化学変化を起こしているんですね。

 

こうして出来上がったのが「塩焼き消石灰」というものです。

 

実は石灰は我が国が自給している数少ない鉱物です。

全国ほとんどの都道府県で産出され、生産されているのですが左官用に作られているこの「塩焼き石灰」の生産は国内数か所、ごくわずかの量です。

残念ながら全国各地で工業的に大量に生産されている石灰は、漆喰には不向きなのです。

 

ただ石を焼けば原料が出来上がるわけではないのですね。

昔から伝わる「塩焼き」の技法が必要。

 

これも大切に守っていかねばならない伝統素材の一つです。