汚れた漆喰

2012/04/20

伝統素材

t f B! P L

漆喰で仕上がったお住まいをいくつか訪ねています。

 

新しい住まい。若いご夫婦と小さなお子さんがいらっしゃることが多いですね。

お子様というものはトコロ構わず…

 

「あ~っ」といった時にはすでに遅し。

 

「すみません、漆喰の汚れを落としたいのですが?!」というご相談、

かなり多く寄せられます。

 

と、いうわけで「漆喰の汚れ」についてです。

 

外部の汚れは自然の影響によるもの。

そして、内部は…ヒトによるものが多いですね。

特に近年は「子供の健康のために」と漆喰を選ぶ方も多くなりました。

 

ところが、子供は汚すのが当たり前。…ですよね?

 食べこぼし、食べ物を持った素手でトコロ構わず触る。

 気が付くと壁一面に落書き。

 モノを投げてぶつけて傷だらけ。

 

元気なお子様であればあるほど、壁も床も汚れるものです。

ま、大人であっても汚す時は汚すのですが…。

 

それらの「汚れ」を落としたいとの相談に対しての答えは

 

 「あきらめてください」

 

というよりほかにありません。

 

 

ほんのちょっとした汚れであれば、消しゴムで落とせるでしょう。

軽微なシミであれば衣類と同じく、中性洗剤でとんとん叩いて…。

ですが、しっかり浸み込んだ汚れは…まず落とせません。

それは「漆喰」の特性によるものです。

 

漆喰は呼吸をする素材。

じめじめした日には湿気を吸い、乾燥した日には水分を放出。

臭い成分を吸収し、ホルムアルデヒドを吸収し…吐かない。

様々なモノを吸収してくれる素材なのです。

 

だから、汚れも取り込むわけです。

撥ねた油も、こぼしたコーヒーも、お子様の落書きも、全て吸い込み封じ込めます。

それが「漆喰」。

 

ですが、そのおかげで健康的な暮らしが出来るのも事実。

ですから、初めからあきらめていただくことが得策ですね。

 

小さなお子さんがいる方の住まいづくりの際には、

10年、20年後に塗り替える事を前提とした提案をおススメしています。

分別がつくようになった頃、「ここはお前3歳のころ、汚したんだよ」と思い出にも。

 

柱の傷と壁のシミ。

想い出が残る住まいも素敵だと思いませんか?