昨日、ワラについて書きましたので
ワラが原料となる漆喰についておさらいです。
土佐漆喰。
名前の通り土佐、今の高知県で伝統的に作られ塗られてきた漆喰です。
高知県は現在も日本有数の石灰の産地。
近世より「土佐灰(とさばい)」は良質な石灰とされ、
近畿一円を中心に使われてきました。
ただ、土佐漆喰自体の歴史は比較的新しいものですね。
幕末から明治初期に出来上がったとされています。
土佐漆喰は日本建築学会発行のJASS15にて
「3か月以上発酵させたワラと消石灰を練り合わせ、
さらに1カ月以上熟成させたもの」
と規定されています。
高知県でなくともその条件を満たせば土佐漆喰?!
では実際に作って見ましょう。
まずワラを用意して
長さを揃え、硬い節を取り除いたのち水分を加え発酵させます。
発酵がすすんだワラを消石灰と合わせ、水で練り上げます。
あれ?他の材料は? と思った方…
そうなんです。土佐漆喰はワラと消石灰と水だけで作られるのです。
「本漆喰」との違いはワラが発酵して繊維がバラバラになったものが麻すさの代わりに。
発酵して溶けだしたワラの成分などが海藻のりの代わりに。
そうして漆喰となるわけですが、さらにもう一味必要なのです。
土佐漆喰には土佐漆喰の技が必要です。
ちゃんと材料を使いこなし、ちゃんと仕上げられる腕が必要なのです。
だから、伝統技術に忠実な土蔵でも、
近代的な住宅においても、その重厚感に圧倒されるわけなんです。
土佐という雨風厳しい気候に耐えられるよう、磨かれてきたその素材と技術。
土佐灰の伝統をベースに革新が加えられた、素晴らしい漆喰だと思います。