「油」のウンチク

2011/05/17

伝統素材

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この花、なんという花でしょうか?

写真素材 PIXTA
(c) めがねトンボ写真素材 PIXTA

 

何の花だか知ってる方はほとんど居ないと思います。 「シナアブラギリ」といいます。

 

「油桐」…そうです。桐油を採る木です。

 

桐油というと、木材の桐から採ったものと皆さん思っていませんか?じつは油を採るのはアブラギリという植物の種から採るのです。

ちなみに

 キリはゴマノハグサ目ゴマノハグサ科

 アブラギリはトウダイグサ目トウダイグサ科

まったく違う種類なのです。 アブラギリは西日本、そして中国に自生しています。そして現在、国内の桐油の産地は若狭が有名ですが、通しているのは安価な中国からの輸入品が多いようです。

 

桐油は「塗料」としての用途が多かったようですね。

塗って乾く(酸化する)と油膜を形成します。

古くから家具の保護塗料として、雨傘や雨合羽に塗って撥水効果を与え、顔料を加えて絵の具にもされていました。

 

また、地域によっては漆喰にも混ぜられていました。

 

そのほか漆喰に使われてきた油の種類をもう一度おさらい。

菜種油  

 

食用でも有名ですね。

最も多用されている漆喰油です。

 

桐油 

 

紹介した通り、桐ではなく、「油桐」の実から採った油。

今でも伝統工芸では珍重されていますね。

江戸期あたりからの利用だそうです。

漆喰では島根や鳥取などを中心に。

 

荏油

荏胡麻油

 

荏胡麻の種から採った油。

歴史的には、菜種油が使われるようになるまでは、

この油が食用油だったそうです。

韓国焼肉のお店で葉っぱが出てきますね。

 

亜麻仁

 

♪亜麻色の長い髪…で知られる亜麻の種から採取したもの。

油絵の具にも使われていますね。

亜麻の茎の繊維は麻製品として使われています。

亜麻は明治の北海道開拓から栽培が始まりました。

 

魚油

 

名前の通り、動物由来の油。

イワシなど、青魚を煮詰めて採っていたそうです。

漁村で多用されていたようです。(ワタシの地元もそうです。)

 

鯨油

 

クジラから採った油。外国が行っていた捕鯨の目的も油でした。

ペリーさんの黒船来航時に開港させられた表向きの目的も

捕鯨船の給油のためでしたよね?

今ではかなり入手が難しくなっていますが…。

 

 

昔からある材料、比較的新しい材料も多いですね。
「油」といっても多種多様あるのです。