漆喰の原料について3日目。
「石灰」そして「麻すさ」に続いて、今日は「海藻のり」。
ノリというと、どうしても接着剤を連想する方が多いのです。
しかし漆喰に必要なノリは作業性や保水性のため。当然、多少の接着力も付与されますが…。海藻を使った保湿パックや髪のコンディショナーと同じく、漆喰がしっとりとした状態で作業を続けられるのです。
早く乾き過ぎるとキレイに塗り延ばすのも難しいですし、急激な凝集はひび割れも出やすいわけです。
ちなみに左官さんが言う「のり効きが悪い漆喰」と云うのは本来「乾きが早い漆喰」を指して言う言葉です。
さて、そんな海藻の種類は…
一般的に、最も有名なものは「布海苔(ふのり)」。
布の「のり付け」にも使われていたことから「布の海苔」と書かれるという説も。ただ現在、伝統工芸などには使われていますが、漆喰に使われるのはごく一部。歴史的には瀬戸内産のものが使われていたようです。
逆に左官職人さんの中では一般的なものが「銀杏草(ぎんなんそう)」。
地域によっては「仏の耳」「耳のり」とも呼ばれますね。現在の漆喰に最も使用されている海藻です。産地は北東北から北海道。流通しているものの多くは韓国や南米のもののようです。
そして「角叉(つのまた)」。
銀杏草の仲間とも云われますが、全くの別物。流通しているのは関東地域が多いです。産地は三陸といわれる岩手や宮城。
これらの海藻を鍋でコトコト炊いて、「のり」を煮出します。
そして網で漉すと、漆喰に最適な「のり」の出来上がり。
近年の漆喰では「のり」は「糊」。
接着性や硬化を強めようと様々な樹脂が用いられています。
でも、考えてみてください。
もともと使われてきた海藻のりは水に溶け自然に消えていくもの。
そして漆喰が固まるメカニズムは二酸化炭素を吸収すること。
のりに接着力を期待する必要などなかったのです。
では樹脂で固められた漆喰、それは何なのでしょうか?
今後の説明の中で分かりやすく違いを確かめていきましょうね。