ドコまでを「天然・自然」と呼べるでしょうか?というオハナシ。
そもそも天然ってどういう意味だろう?
「天然素材100%!!」という建築素材はまず簡単に手に入らないということを日々ご説明しています。そもそも天然、自然というコトバの本来の定義は「人の手が加わっていない」こと。
言ってみれば「加工」が加わったところで、既に自然素材と言えないのではないか?という考え方もありますね。ただ、一般的な考え方としての「天然素材」「自然素材」は、そこに化学(科学?)的なナニかが加わっていないことを表しているようです。
では漆喰を例にドコまでが「天然・自然」なのか考えてみましょう。
まずは石灰。原料となる石灰岩は石灰鉱山から。
山から岩を切り出し、砕いて工場へ。
窯で焼き、800~1000℃の熱を加えることで生石灰へと変化します。
ここで既に化学変化1回目。
生石灰に水を加えると反応して消石灰に。
ここで2回目の化学変化。この消石灰が一般的な漆喰の主成分となります。
次は海藻のり。原料はもちろん海藻各地の磯などで採られたものですね。
海藻は数年乾燥熟成させたのち、炊いて炊き糊として使うか
一度加熱処理したのちに乾燥させて粉砕して
粉末海藻のりとして、メーカー製のインスタント漆喰の原料になります。
そして麻すさ
麻畑で栽培された麻の茎の繊維が加工された物。
原料は様々なカタチで輸入された後、加工された状態がコレです。
短く切り刻まれたしなやかな繊維がすさ。
漆喰はこれまでの3つの素材を水で練れば出来上がるのですが…
ここに様々な素材が加えられます。
例えばノリ。
最も多く使われているものは、パルプを苛性ソーダで処理したものをエーテル化剤と反応させた…というセルロース系のもの。原料名に「セルロース」と書かれていることも多いですね。
そのほか、ガラス繊維や化学繊維などなど。
さて、ここでもう一度考えてください。
ドコまでを「天然・自然」と呼べるでしょうか?