実は今の時期、しっくい工事のトラブルが多い
降り続く雨と、晴れても蒸し暑い毎日。全国的に漆喰の施工が難しい季節です。左官工事は水を塗るとも言われる仕事。
洗濯物と同じで乾きにくいことは色々なトラブルを生むのです。
トラブル「下地養生の不足によるひび割れ」
左官さんのお仕事は仕上げ。最後に漆喰を塗ってキレイに仕上げます。ところが、雨の毎日。
工期の遅延や天候不順などによって工事日数が足りなくなることが多々あります。
で、間に合わせるために何とかするわけです。当然、ご本人はゆっくり塗りたいのですが…。誰かが待ってくれないのですね。
その為に起きてしまうトラブルがひび割れ。
セメントモルタルの上に漆喰を塗る場合には、必ず、暖かい時期でもセメントは最低2週間、何もせず置いておく(これを養生といいます)ことが推奨されています。
が、それを待てずに次の工程へ行くケースがあります。
で、養生せずに塗るとどうなるか?
セメントの収縮によって、上に塗った漆喰にひび割れが出来てしまいます。
ほとんどのケースで特大クレームにつながります。
トラブル「工程短縮?によるひび割れ」
モルタルの上に漆喰を塗る時には建物から表面に伝わる力が少なくなるよう、砂入りの漆喰(中塗り漆喰)を塗ります。力を細かく分散し吸収し…と、砂の入った層が緩衝材となるわけです。
左官さんの昔からの優れた知恵です。
しかし1)の理由と同じく、工期短縮という名目で省かれることがあるようです。
左官さんはしっかり塗りたいはずなのですが…。
で、塗らないと?
表面に直接チカラがかかるので、ひび割れがとても出やすくなります。
しかも、後からジワジワと。多少、上から塗り直したくらいじゃ消えず、原因が残ったままなので、何度も出てきます。
…想像したくないクレームですね。
トラブル「乾燥条件不良による白化・白華」
漆喰は消石灰を練ったもの。消石灰=水酸化カルシウムは全てではありませんが水に溶けています。
では、水をたっぷり含んだまま乾燥条件が悪いとどうなるか?
溶けていたカルシウム分が表面に結晶を作るわけです。
白い粉を吹いたような状態になり、なんとなくモヤモヤした仕上がり状態になってしまいます。
またはテカりますね。
表面にオブラートのようなガラス状の結晶が出来てしまうのです。
漆喰に起きるトラブルを回避するためには?
色々な原因はありますが、トラブルを避けるためには無理をしないことです。- 無理な工程を組まない。
- 無理な時に施工しない。
- 無理に乾かさない。
- 無理なお願いをしない。
梅雨のこの時期、ちゃんと乾燥と養生を行いながら、じっくりゆっくりと慌てず施工して下さいね。
普段通りなのです。
雨の降る日には洗濯物を外に干さない。
部屋干しの時にはちゃんと湿気を取るように。
…漆喰も同じですよ。
無理には理由がある
ただし「塗るべきではない状況でも塗る。」には理由があります。様々な現場の事情にあわせて、左官職人さんは気候と乾燥条件を一生懸命考えながら、少しでも良い仕上がりになるよう、努力を続けていらっしゃいます。
周りの皆様はよくご理解いただき、左官さんを応援してくださいね。