伝統を伝えるには 素材と技巧 どちらも必要

2019/03/28

おさらい

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繰り返しますが、ワタシは
  1. 本漆喰
  2. 土佐漆喰
  3. 琉球漆喰
の3つを勝手に「日本三大漆喰」と呼んでいます。その中で歴史的に最も新しいのが、現在、地域を飛び出して全国に広まっている「土佐漆喰」。

土佐の名前の通り、高知県を発祥とする漆喰です。
その特徴を製法から改めておさらいしましょう。


土佐漆喰の製法です。

土佐漆喰は日本建築学会発行のJASS15などでは「3か月以上発酵させたワラと消石灰を練り合わせ、さらに熟成させたもの」とされています。

だから、まずワラを用意して


長さを揃え、硬い節を取り除いたのち、水分を加え発酵させます。


発酵がすすんだワラを消石灰と合わせ、水で練り上げます。


あれ?他の材料は? と思った方…
そうなんです。土佐漆喰はワラと消石灰と水だけで作られるのです。

一般的に漆喰として知られる「本漆喰」との違いは、ワラが発酵して繊維がバラバラになったものが麻すさの代わりに。発酵して溶けだしたワラの成分などが海藻のりの代わりに。

そうして漆喰となるわけですが、さらにもう一味必要なのです。

それが「土佐漆喰の技」。
土佐漆喰をちゃんと使いこなし、ちゃんと仕上げられる腕が必要なのです。

だから、伝統技術に忠実な土蔵でも、


近代的な住宅においても、その重厚感に圧倒されるわけなんですよね。


土佐という雨風厳しい気候に耐えられるよう、磨かれてきたその素材と技術。
決して妥協しない厚みと重み。

伝統の漆喰をベースに革新が加えられた、素晴らしい漆喰だと思います。



何よりも素晴らしいのは、それを扱う職人さんが頑なに「土佐漆喰の技法」を守っていること。

歴史的には江戸末期から明治にかけて創られたといわれる土佐漆喰。漆喰を作る職人さんも、それを塗る職人さんも、一切の妥協を許さぬ、数少ない伝統素材です。