©伝統素材伝承支援協会 たまには左官の技も褒めてほしい 150 150

たまには左官の技も褒めてほしい

以前ご紹介した、桑名市の六華苑を改めてご紹介。山林王・諸戸清六邸として大正12年に竣工した国の重要文化財です。洋館部分は鹿鳴館の設計で知られるジョサイア・コンドルによるもの。

ある行事でのエクスカーションでは、誰もが「へぇ~、凄いね~」と感嘆しながら、観て歩きました。




が…、凄いのは設計者だけじゃないんです。

左官だって凄いんです。だって、考えてみてください、コレ、木造ですよ!
なのに一見、石造りに見えるわけです。


ほら、4層の塔の部分も当然木造。
木造にモルタル塗って、最後にペンキで着色しただけなんです。

モルタルの目地と各々の質感。
それらを精緻に行ったニッポンの左官をホメるべきでは?


見てください。真っ直ぐから湾曲へ。
一つ一つ、石に見立てたその目地の表情もしっかりと。


ただモルタル塗って線を引いただけでは、こうはならないんです。


中から塔の部分をみると…ほら、円い。丸ではなく円です。
しかも継ぎ目はありません。


分かりますか?円いんです。壁を歪みなく円く仕上げている、その左官の技。


付け加えていうならば、建具もガラスも円いんです。


さらに、洋館と繋がる和館の奥には一番蔵。重厚な漆喰塗りです。


当然、蔵戸は黒漆喰の磨き。
だいぶ表面が荒れているとはいえ、ほら、まだまだ顔が映るんです。


敷地内に建てられたお稲荷さんの土塀にも粋な瓦の波が…。


「誰も左官さんをホメてくれないな~」と日暮れに寂しくなった私でした。


六華苑は三重県桑名市にある国の名勝です。
桑名駅から徒歩20分。もしくは田町バス停下車徒歩10分。
普通車およびバスが停められる駐車場があります。

ゆっくりご覧になるのがオススメですよ。
左官さんの素晴らしい世界をしっかりとご覧になってください。