「漆喰のオハナシ」 おさらいその7

2014/12/29

おさらい

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昨日は「色々なものが混ぜられている漆喰がある」ということについて触れました。
→ 昨日のブログ

では、実際、どのような漆喰があるのでしょうか?
…というのが今日のおさらいです。
 


メーカー製の漆喰を分類すると、ほとんどが「既調合漆喰」と呼ばれるものにあたります。

既調合漆喰とは、その名の通り、既に調合が出来ている漆喰。
水で練るだけで使える、インスタント感覚で使われ始めた漆喰です。
現在の主流はこの漆喰なんです。

これらは昭和40年代あたりから、全国の石灰会社が製造を始めました。
現在では、本格的な炊き糊を使ったものや、既に練っているもの、海藻の代わりに合成樹脂を使っているものなど、百花繚乱です。

それが「今の漆喰」。

そもそも漆喰を作るときには、海藻のりは炊いて作るのが伝統でしたが、原料海藻を加工して粉末化したものを溶かして、のりとなるものが主流です。

それ以外の原料の基本は変わりません。

消石灰 と


麻すさ と


粉末海藻のり


これら3つを混ぜ合わせると基本的なメーカー製漆喰の出来上がり!

…といいたいところですが、ココからさらに様々なものが添加されます。

例えば、天然海藻は不安定なもの。原料が常に一定ではないため、作るたびに性状が変わります。だから、水溶性樹脂などを加え、接着と粘り、保水などを安定させるのです。
また、主原料の消石灰の純度が高すぎる場合には、元々の石灰石の粉(炭酸カルシウム)を混ぜて、その収縮などを緩和します。

そこで、配合される原料の一覧です。
漆喰
素材の名前
内容
石灰
漆喰の主原料です。
  •  主に「塩焼き消石灰」。
  •  石灰の代わりに貝を焼いた灰も。
すさ
石灰の収縮力の分散、補強、つなぎの為。
  • 麻すさが主に用いられています。
  • 仕上げ用漆喰では紙すさも。
海藻のり
粘度調整、保水効果のために。
  • 若干の接着強化にも効果があります。 
  • 角叉、銀杏草などの海藻の粉末。
補助材料
化学のり
粘度や接着の安定のために混入されます。
  • メチルセルロースなど。
  • 天然原料を工業的に加工したものが多いです。
  • 酢酸ビニルやアクリルなどの合成樹脂も使われます。
  • 近年、食品増粘剤のカラギナンなども上市されました。
化学繊維
強度向上やひび割れ防止。
  • ナイロンやポリエステルの繊維です。
  • 鏝すべりが良くなる効果のものも。 
炭酸カルシウム
収縮やひび割れ防止。
  • 石灰石を粉にした炭カルなど。
  • 消石灰の純度をあえて落とすために。
顔料
漆喰に色を付ける際に。
  • 煤や鉱物顔料など。
  • 黒以外にも、赤や黄などがあります。

いかがでしょうか?
 「漆喰は天然素材だから安心!」などという言葉、信じられなくなりませんか?

そんな方々のためにあるのが

 日本漆喰協会の「化学物質放散自主認定制度

かもしれませんね。

認定にあたり、全ての製品は外部機関で分析されます。
その基準値も厳しく制限されています。基準を知りたい方はコチラ。

化学物質の放散量だけでなく、樹脂を配合する場合の上限まで定めていますから、混ぜ物を極力使いたくない方にとってはオススメの制度だと思います。
合格品には全てその合格マークが付けられていますから安心ですね。

でも、さらに

 「メーカー品でも混ぜ物が入ってないものってありますか?」

というお問い合わせをよくいただくこともありますが
…この場ではお答えできません(汗)