特に塗り壁についての説明で「漆喰ってナニ?」というお話を。
「そんなの知ってるよ」という方に限って…間違って覚えていることが多いんですよ。
特に理解されていないのが「素材」。何でも同じだと思っている方がほとんどなのです。
・・・なので、石灰を例に何度でも説明しておきます。
もともと漆喰は消石灰に、麻すさ、海藻のりを加えて造られるものです。
主成分は「消石灰」。
「しっくい」の語源は「石灰」をシックイと読んだ…と言われるくらい、本当は石灰だけを塗っても良いくらいの素材なのですが、作業をしやすくしたり、割れにくくしたりするために麻や海藻が必要となります。
が、最近、左官関係者の方々から「昔の石灰と違う」というお話。
麻や海藻は海外産のモノからでもなんとか調達。
ところが「石灰」…難しい相談です。
漆喰に最適な石灰とは何か?
- 高純度の水酸化カルシウム?
- 不純物が少ない消石灰?
- 真っ白でキレイな石灰?
・・・違うんです。
左官さんがお望みの「漆喰に最適な消石灰」とは…
下地用に使うのか?仕上げ用に使うのか?といったことでも変わってきます。
石灰なら何でも同じだと思っていらっしゃる方がほとんどなのですが
実際のところ、水で練った状態では
焼き方や水との反応の仕方、フルイの仕方などでその性質が全く異なるのです。
つまりは「漆喰のために作られた石灰」が必要だということ。
石灰屋さんに頼めば?…それが難しいんです。
漆喰用、左官用に石灰を焼いている会社が我が国に何社残っていることか。
石灰を焼く窯(かま)
我が国に伝統的な焼き方で石灰が造られているトコロはあまり多く残されていません。
しかもその焼き方自体も採算を考えると漆喰専用の焼き方は難しいようです。
それでも各社さん、「伝統素材」を残していくためにいろいろと検討を繰り返しているようです。
残していくためには…使うこと。
漆喰が塗られる工事が続く限り素材は残されていきます。
無くなったあとから「欲しい」と言っても手に入らないモノ、多いですよね?
なぜなくなったのか?
それは、誰も必要としないからです。
なぜ必要じゃなくなったのか?
それは、誰もが忘れてしまったから…かもしれません。