そして沖縄だけで使われるという独自性。これぞガラパゴス漆喰??
というわけで琉球漆喰のおさらい、3話目です。
琉球漆喰は通称「ムチ」と呼ばれます。
ムチは沖縄の言葉で「お餅」。
原料となる生石灰とワラを混ぜたものを、仕上げに臼と杵でペッタンペッタンと餅つきのように突く作業から、そして餅のように粘りがあることから、と言われています。
そして、その独特の色合い。
石灰とワラが混ざり合い、ワラから出る成分で黄褐色の漆喰が出来上がります。
もともと石灰岩の採掘が困難である沖縄。
そのかわりに海からサンゴを採取して焼くことでその原料を得ていました。
が、いつまでもサンゴを採るわけにはいきません。
海に打ち上げられるサンゴ石の量も多いものではありません。
なので、現在は石灰岩を焼いてつくった生石灰を原料にしています。
石灰岩はサンゴなどの化石ですから、由来が同じと言えば同じですね。
ワラは大地の恵み。そして石灰は海の恵み。
海と大地の恵みを存分に利用して作られていたのが琉球漆喰なのです。
と、いうと「沖縄ってお米作ってたの?」という方もいらっしゃいます。
当然です。当然、島々からなる場所ですから作付面積はあまり広くありませんが、それでも最盛期といわれる1955年には作付面積が12,532haに達していました。
現在ではその10分の1にも満たないのですが…。
参考)平成22年度水陸稲作付面積(ha)
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とにもかくにも、ワラがあったのです。
その証拠が沖縄のお祭り、大綱挽きです。
上の写真じゃ何だか分かりにくいですね。
なので綱の写真がコレです。
大量の稲ワラから造られた綱挽きの綱。
現在は沖縄の各地で町おこしのイベントとして、大規模なものが多く行われていますが、ワラを使う文化がしっかりと根付いている証拠です。
そして、琉球漆喰をつくっている漆喰職人さんは、この綱挽きのワラの不要になったものをいただき、原料に使っています。
そうして出来上がった琉球漆喰、最後に工事現場でサンゴの砕けたものが集まってできた、沖縄の「海砂」と混ぜられ、屋根漆喰として使われているのです。
沖縄を代表する「守礼門」にもちゃんと琉球漆喰。
文化を守る心がしっかりと残っている沖縄ならではの漆喰です。
他の地域では?
残念ながら樹脂が配合されたモノや極端な例ではセメントなども使われています。
…残念な現状です。