けれど、もともと「漆喰」は左官さんが自分で造っていた材料なんです。それも「水で練ったら出来上がり」ではなく、手間暇をかけて。海藻のりを炊き、麻すさを叩きほぐして混ぜ入れ、少しずつ消石灰を練りこんでいく…といった具合に、左官さん自ら、丁寧に時間をかけて材料作りから行っていたのが、本来の左官現場の姿だったんです。
そうして造られた漆喰だけを現在では「本漆喰(ほんじっくい)」と呼びます。
海藻のりを炊く代わりに、便利な左官用の海藻粉末を使う方もいますが、それが出来たのここ数十年のオハナシ。昔ながらのやり方でのみ、本漆喰と呼びたいですね。
という本漆喰。使う現場が少なくなっています。
その理由は、原料の素材自体が簡単に手に入らないのもありますが、手間もかかるんです。
手間をかけると言うのは手(おカネ)間(時間)の通り。そんな余裕がなくなってきたのでしょうか。
最近は文化財等でしか見られないようになってきましたね。
さて、工事が完了し、とうとう解体が始まった姫路城。
聞くところによりますとかなり苦労して素材を集めたうえで本漆喰を造り、施工されたそうですよ。