「天然」と「自然」。実はそれが漆喰にまつわる言葉の大問題となっているんです。

2014/02/01

伝統素材

t f B! P L
今日は難しい、コトバの問題をおさらい。

それが… 「天然」と「自然」 の違いです。
はたして漆喰は天然素材、自然素材といえるのでしょうか?

結論からいうと「ほとんどの製品はNO」です。 


天然、自然とは?

ほぼ同じ使い方をされる言葉ですが、本来の意味をあえて考えてみます。

現代日本語では文法や使い方が変わってきてはいますが、微妙に異なるものです。「自然」の反対語は「人為」ですが、「天然」の反対語は「人工」。どちらも人の手が加わっていないことを表しますが、反対語を見る限りニュアンスが若干違いますね。

同じようには使えない言葉遣いもありますし、
 例) 天然ウナギ 自然ウナギ / 自然現象 天然現象

また、言葉の持つ役割で意味も変わってきます。
 例)自然の美しさ 天然の美しさ / 自然のめぐみ 天然のめぐみ

さらに厳密に云えば「人の手で植えられた森林」。
人の手の部分だけをみると、自然/天然のものではありませんが、広義では「森林」は自然といえるでしょう。その森からとれた木材は天然/自然のものとして扱われています。

また、人の手で加工された木材。
それは天然/自然のものではなく、天然由来/自然由来と云うべきところです。


天然素材と自然素材

そこで最近使われている便利な言葉が「自然素材」/「天然素材」という言葉です。
極力人の手が加わっていない…素材ということになります。

ちなみに現代の言葉遣いにかみ砕くならば

 「自然から持ってきたそのまま」を「天然モノ」といい

 それらを原材料に、成分を変えることなく一次加工したものが
 自然素材/天然素材と呼ばれている…といったところでしょうか?

さて、その「素材」。どこまでを安全と考えるべきか?
それが現代に生きる私たちに課せられた大問題であると思っています。

漆喰は天然素材か?

ここまでの説明から考えていただければ漆喰はいくつかの原料を混ぜた加工品ですから天然由来、自然由来の原料を使った「製品」であると考えるべきでしょうね。
コトバの意味合いからして、漆喰そのものを天然素材とは呼ぶべきではないでしょう。

しかも、これまで説明してきたとおり、その多くは天然素材を加工した「天然由来成分」を使っていますから…?
 過去記事「おさらい 漆喰の原料を合わせると…」http://shikkui.iza.ne.jp/blog/entry/2964961/
いずれにせよコトバの問題ですね。
メーカーが「製品」を天然素材と呼ぶことは、極端に言えば不当表示ともとれます。

さらには「天然素材からとれた成分」。
「昆布からとっただし汁」と「昆布からとったグルタミン酸で味付けしただし汁」のようなものです。
食べ物にはウルサイ我が国の消費者ですが、住まいに関してはインスタントばかりがお好みのようですね。


なお、天然と自然。
用例としては「自然素材」の方が多く使われていましたが、
20年ほど前から「天然素材」の用例が徐々に増えています。
吉本興業のおかげでしょうか(笑)