とりわけ「漆喰に生えるカビ」についてのご相談はあいかわらず多いですね。
漆喰に限らない話なのですが、住まいの北面や植栽に接近した壁面などには、どうしてもカビや藻が繁茂してしまうことが多いんです。
また、「知らないプロ」も多いのですが、塗料や水回り製品などにはあらかじめ防カビ剤が配合されていることが多いのです。
当然、漆喰にはそういった薬剤を配合されていないものがほとんどですから、塗料と同じ感覚で使ってみたら、カビが生えてクレームになることが多いようですね。…自然に近い素材ですから、カビが生えてもキノコが生えても仕方ないと思うのですが…。
では今日もおさらいしましょうね。
Ｑ．漆喰にはカビが生えますか？
Ａ．生えますよ。
ただし、条件があります。
漆喰の主成分は消石灰。石灰にカビが生えることはまずありません。
問題は藻やカビの発生条件。空気と水と土です。
空気が無いところはありませんから論外。
１．漆喰の表面に土埃がのる（畑が出来る）
２．漆喰はたっぷり水を吸い、畑に水が供給される
空気中を漂う藻やカビの胞子が畑に舞い降りると… 藻やカビの発生です。
一度生え始めると、死んだ藻やカビが畑に変わり更に更に生育が進みます。
水を弾くはずのタイルや窓ガラスに生えてしまうのと同じメカニズムです。お風呂の洗面器やシャンプーのボトルなどにも、生えてしまいますね。
つまり要は「きっかけ」なんです。
写真はある場所で、施工後半年で発生した黒カビ。
シミにようにみえる黒っぽい部分が生え始めの黒カビです。
それをルーペで拡大するとこんな姿が。
キレイにひび割れに沿ってカビが生えています。
どうやら、表面にできたひび割れが畑になったようですね。
原因は「カビが生えやすい環境」ということもありますが、この壁、ひび割れだらけだったんです。「ひび割れが多い」こともカビがたくさん生えた原因でもありました。
では藻やカビ対策をどうするか？
１）漆喰にあまり雨があたらないように建物を設計する。
（雨のあたりやすいところに塗らない）
２）パターン仕上げなどにしない。できるだけ平滑に。
（これは漆喰に限らず、ペンキでも一緒。）
３）逆に、生えた姿を風情として楽しむ。
汚れもまた味わい。古刹などはそうでしょう!?
４）どうしても落としたいときは水周り掃除と一緒。
次亜塩素酸系のカ○キラー、ハ○ターなどで根こそぎ。
あまり固いものでこすらないこと。表面が荒れて更に生えやすくなります。
何よりも、素材のことを分かってから使う。ということでしょうね。
ビックリするような使い方をしている建物、少なくありませんよ。
さらに、新築して数カ月の方から同様の相談をうけたことも。
「畳にカビが生えたんだけど…」
生えますよ！
カビが生えるのは畳表に防かび剤などが使われていない証拠。
毎日、空気を入れ替えて、空拭きするなど、気を付けてもちょっとしたことで新しい畳には必ずカビが生えます。でも、ちゃんと拭きとれば大丈夫。それもまた自然の姿と言いたいです。
