今じゃ作れない漆喰もあるけど

2013/11/20

伝統素材

t f B! P L
大麻で捕まるフトドキモンがまたしても立て続けに。


麻は我が国の伝統素材。それは大麻も例外ではなかったのですが…ダメっ!!
しっかりと法律で制限されています。

というわけで、今日も麻のおさらいをしましょう。



漆喰や土壁には大事な原料が数多くあります。

「手間をかける」というでしょう?
コトバの通り、様々な方の手を経て、時間をかけて出来上がるのが、手間のかかった素材「伝統素材」です。

今日はその中から「すさ」について。

すさは漢字でくさかんむりに切と書きます。他に「寸紗」などと書かれることもあるようですね。


そのすさがどういったものかと云うと…


こんなカンジ。わかりやすく言うなら植物の繊維を細かく切り刻んだものです。
水で練られた石灰の中に植物繊維がつなぎ役として働くことで、収縮や外力から発生するひび割れを防ぎます。また、すさの硬さや長さによっては作業性も良くなります。繊維の層が出来れば保水効果もありますね。

麻が原料ならば「麻すさ」、ワラであれば「わらすさ」。紙を使うときは「紙すさ」など、その原料の名をとって呼称されます。

様々な繊維が使われる中、漆喰に最も多く用いられてきたのは「麻」。特に古来より使われてきた品種のものは、強くてしなやか。そして主原料である石灰のアルカリにも強い。建築材料としてもうってつけの素材なわけです。

が、ご注意…。現在は様々な素材が流通しているんです。水やアルカリに弱いものも売られていますから、漆喰を作って練り置きするとアララ。溶けてます。


また、すさとして使われることが多い「麻すさ」には様々なものがあります。
本すさ  
大麻を使ったすさです。本麻すさとも。「大麻」の名の通り、ほぼ入手は不可能です。漆喰のすさとして最高級とされる生濱すさ(きはますさ)もこの素材です。原料が原料ですので、文化財などで使われているだけです。
南京すさ 
南京袋を洗浄してリサイクルされたすさです。中塗りなどの下地や屋根漆喰に使われています。「南京袋」は南京豆(落花生)の袋。江戸初期には中国から輸入されていました。だから、結構歴史の古い素材なのです。
晒しすさ 
サラシスサ。国内の「麻すさ」のほとんどがコレです。名前の通り、南京袋を漂白洗浄してリサイクルされたすさです。原料となるのはジュート(黄麻・綱麻)やケナフ。
白毛すさ 
現在、原料はほとんどがサイザル麻のようです。サイザル麻は麻ではなく竜舌蘭という種類の植物。あまり水には強くありません。中塗りなどの下地や屋根漆喰に使われています。
マニラすさ
フィリピンの首都の名の通り、フィリピン原産の芭蕉の仲間です。軽くて強い繊維であるため、船のロープとして使われ、そのリサイクル品として流通されていましたが、 現在はほぼ入手不能です。なお一般にマニラとして売られているものの中身は、 ほとんどがサイザル麻です。マニラ麻(アバカ)は国外持ち出しが制限されていますから。
白雪すさ 
過去はともかくとして、「白雪」は商品名です。東日本、西日本それぞれで、それぞれの白雪が流通しています。原料素材はジュートやケナフですね。ですから、一般名称としては晒しすさに該当します。

すさは、漆喰にとっては絶対に必要な素材です。

ですが、伝統技法を守る「すさ職人」さんは、現代では数少なくなってしまいました。しかし、その方たちの頑張りで、今も大切な国の宝が守られているわけです。

大麻も用途によっては重要な素材。
それをフトドキな使い方のために栽培するのは困ったハナシです。