寒い時こそ「琉球漆喰」が観たくなる

2013/01/28

見に行こう

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寒い冬。「暖かい場所」が恋しくなりますよね。

 

と、いうわけで沖縄。

しつこいようですが、またしても「琉球漆喰」のおさらいです。

 


「漆喰」というとほとんどの方は「壁」をイメージしますね?

 

ですが、琉球漆喰は見られるもののほとんどが屋根に使われています。

また、亀甲墓(かめこうばか)と呼ばれる沖縄独特のお墓にも使われていますが

観光でお墓へ行くこともありませんから、そちらはあまり目にすることが出来ません。

 

元々壁の少ない様式である沖縄の民家では、漆喰のほとんどが屋根で見られるわけです。

 

ちなみに、「このままでは物騒じゃないか?」と思った方…大丈夫です。

 

上の写真は敷地の中。

家の周りには琉球石灰岩でみっしりと積まれた石垣が守っています。

そして家の正面からも見えないように目隠しの壁(ヒンプン)が。

 

このヒンプン、悪霊が家に入ってこない防御壁でもあるそうです。

沖縄の悪霊(マジムン)は真っ直ぐしか進めないからだそうで(笑)。

魔除けのシーサーとともに守りはバッチリですね。

 

沖縄の伝統様式では、

屋根は強い風雨に耐えられるよう瓦と瓦をガッチリ固め、

壁は暑い夏を過ごしやすいように取り外される板になっています。

 

石垣と石垣の組み合わせで、涼しい風の通り道も造られています。

本当にすばらしい先人の知恵です。


ただ、このような姿が見られるのは観光地や保存されている施設など。

沖縄県内にはまだまだ「古民家」として残されてはいますが…。

沖縄へ訪れたことがある方はご存知でしょうが、

市街地はほとんど鉄筋コンクリートの建物で埋め尽くされているのです。

 

郊外の比較的古い建物でもこんな有様。

逆にこれが「沖縄の風景」と言えるのかもしれませんね。

 

 

ところが、近年、沖縄県内でも琉球漆喰を見直す動きがあるのです。

沖縄の伝統素材、それを新しい建物に使う。

それこそが伝承と革新、とても素晴らしいことです。

 

それが、近年オープンした沖縄県内のショッピングモールの店舗。

せっかくなので迫力が伝わるよう、大きめの写真で。

 

 

 

 

 

 

 

屋根も壁も、見える限り全て沖縄の素材。

赤瓦と琉球漆喰、そしてアクセントの琉球石灰岩。

日陰の路地もなんとなく気持ちの良い風が吹き抜けるように感じられますね。

まさに沖縄の、そして琉球の伝統素材の魅力が存分に体験できる場所です。

 

左官材の素晴らしさは、

 丸いところは丸く、四角いところは四角く塗れるところ。

その自由度にあります。

 

ところがどうでしょう。この建物は丸さにさらに丸さを加え、

とても柔らかく暖かい表情を与えます。

それが、琉球漆喰の素朴さがなせる業。 

 

きめ細かく、そして荒々しく、表情をつけることが出来るのです。

そして、この色。真っ白ではありません。

強い日差しの中でも心地よい、柔らかい色。そう呼ぶべきでしょう。

 

琉球漆喰の魅力、まだまだ語りつくせません。