防火と漆喰

2012/04/17

伝統素材

t f B! P L

先日も不燃性能についてオハナシしたばかりですが…

 

泊まっていたビジネスホテルで、「ん?」と思ったことが。

 

よくよく見ると壁に小さなシールが貼られているんです。

 

このシール、「防火施工管理ラベル」というものです。

日本壁装協会が発行した「この壁紙は不燃材料です」という表示です。

http://www.wacoa.jp/fire/label.html

 

 しかし、何故こんなものを?

 

答えは簡単ですね。燃えるかもしれない素材だからです。

 

と、いうわけで、防火と漆喰についておさらい。



今お住まいの家、火災について考えたことはありますか?

家具や調度品、燃えやすいものばかりですよね?
さらに家の壁、その壁紙は大丈夫ですか?

当然のことですが、火災が発生したことを想定して、
建築物に使われる建築資材には防火のための基準が定められています。
また、地域によって防火地域や準防火地域などがありますね。
それらの地域や人の集まる特殊な建築物(ホールや病院など)にも、火災から守るための
制限が定められています。

使用する建築材料に求められる防火。
それを不燃性能といいます。その性能順に

 

不燃材料 

  • 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間は、燃焼しないこと。
  • 外部仕上げにおいては、防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないこと。
  • 内部仕上げでは避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること。

 

準不燃材料 

  • 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間は、燃焼しないこと。
  • 外部仕上げにおいては、防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないこと。
  • 内部仕上げでは避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること。

 

難燃材料 

  • 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間は、燃焼しないこと。
  • 外部仕上げにおいては、防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないこと。
  • 内部仕上げでは避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること。

 

以上が定められています。

ここで注目すべきは、不燃材料。
「20分は燃焼しないこと。」お気づきですね。燃えるんです。

全く燃えない素材ではなくても不燃材料と呼ばれます。
少し心配になりますよね!?
また、樹脂製品であれば、少なからず燃焼ガスを発生させます。


さて、そこで漆喰
燃えない素材です。それは歴史が物語っていますね。
そもそも商家の蔵などが土蔵であり、お城が白く塗り込められていたのは
漆喰による防火が目的でした。

漆喰は燃えません。ただし、本当の漆喰に限ってのオハナシです。
近年市場に出てきた「なんちゃって漆喰」が同様の性能を持つか?
それはわかりませんね。

火を近づけても燃えない。
有害なガスを全く出さない。

それが(本当の)漆喰です。

 


 

だから漆喰にはシールは無用!!

 

と言いたいのですが、わざわざ防火認定を取っているメーカーさんもあるようです。

 

実は漆喰は建設省告示第1400号において石やレンガ、コンクリートなどと同様、

不燃材料として定められているのですが…

 

何か燃えるものを含んでいるからなんでしょうか?