ナマコと漆喰

2011/10/17

伝統素材

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漆喰を学ぶ上で、必ず立ちはだかる壁。

それが海鼠壁(なまこかべ)です。
下半分の白黒部分が海鼠壁。
なまこの由来は、漆喰のカタチが海鼠のようだからということですが…。



蔵のデザインの代表的なものであり、
そのデザインも千差万別。

施工方法も地域によって異なることから、
ワタシは「あまり触れたくない」テーマの一つです。

 

当然、ちゃんとした研究をされている先生方もいらっしゃいますので

詳しく知りたい方はそちらの門を是非。

 

が、一番簡単なレベルでしたら…と挑戦します。

海鼠壁の目的は?といえば
本来は防水が目的だったといわれます。

漆喰は雨に弱い土壁の上から塗ることで、土壁が雨に流されるのを防ぎます。
が、漆喰そのものも水をたくさん吸う素材であるため、
直接雨が当たる場所には不向きなのです。

だから、雨がかかりやすい建物の下部は腰壁に板を張るなどして、
漆喰は塗らないことが多いのです。


 

 

ところが、防火について考えた場合、やはり土と漆喰を使いたい。
そこで使われた技法が海鼠壁であったと言われています。

漆喰だと水に弱いので、平面部分をできるだけ平瓦で覆う。
そして、目地を漆喰で分厚く覆うことで、
防水と表面保護、そして美観が生まれるというわけです。

簡単に言うと、現代のタイル貼り…というと云い過ぎでしょうか?

断面を見ると分かりやすいでしょ?

 




土壁の上に漆喰で平瓦が貼り付けられ、さらに目地から漆喰で固められています。
これが一般的な海鼠壁。

これが各地で様々なバリエーションを生んでいるわけです。

熊本の肥後漆喰の海鼠壁はまさに質実剛健。



簡単に壊れそうなものではありませんね。