ノロノロ台風が西日本で猛威を振るっています。
テレビなどでも伝えられていますが
こういった台風は長い時間、強風と豪雨が住まいを襲います。
そこで被害を受けるのが…瓦。
昔ながらの瓦屋根は棟瓦などが積まれた下には台土。
そして熨斗瓦や面土、鬼首、雀口などの部分に漆喰が塗られています。
「棟(むね)」というのは屋根の頂上の部分。
瓦を押さえ、積み上げられたものが棟瓦(むながわら)と呼ばれます。
面土(めんど)は瓦の突き合わせの凹部。
近年では「防災瓦」と称して一つ一つの瓦が釘やビスなどで固定されていますが
古くからの瓦は基本的に「積み重ねる」だけ。
地震や強風などの強いチカラが住まいにかかった際には
瓦が落ちることで部分的に壊れて力を逃す…
そうなんです。壊れるのが当たり前。
それこそが千年以上かけて培われた「知恵」。
伝統構法で建てられた住まいの優れた所ですね。
さらに、漆喰は強いチカラが加わると瓦との接着が解けます。
固定されすぎていると屋根から力を逃すことが出来ないのです。
震災被害の写真などで、
棟ごと、最悪の場合は屋根ごと一体になって崩れ落ちている建物がありますね。
それは釘やビス、セメントや樹脂などでガッチリ固められて
力が逃げない構造であったため。
下の写真のように壊れるのが「当たり前」の姿なのです。
台風の後は瓦がズレたり、飛ばされていたりしていないか、ちゃんとチェックしましょう。
瓦職人さんに頼んで手入れしてもらうのも大切なことです。
住まいは昔も今もメンテナンスフリーではありません。
が、ちょっとした手入れの積み重ねで長持ちするのが
伝統工法で造られた住まいの長所です。