連休おさらいシリーズも今日で4回目。
今日は「西洋の漆喰」についてのおさらいです。
漆喰を英語でなんと呼ぶかご存知ですか?
しかも西洋では石灰も石膏もplaster。
不思議ですね。確かに石灰石から出来るものですが…。
絆創膏も湿布も軟膏もプラスターと呼ぶのです。
白くて塗るものは何でも「プラスター」と呼んでいたのですね。
さて、西洋の白い壁に使われていた漆喰、
ほとんどが石灰と砂を混ぜた石灰モルタルなのです。
石造りの際に石と石の間に詰められるモルタル、
これも石灰モルタルでした。
用途としては現在のセメント製品と同じだったのです。
で、現代の西洋漆喰。
色々なものが輸入されていますが、石灰モルタルではありません。
どちらかというと日本のものに近いですね。
ただ、海藻の代わりに化成のりが使われているものが多いようです。
我が国で伝統的な西洋漆喰?
石灰モルタルを使っている方々、それはフレスコ画の画家さん達です。
フレスコ画の下地は今もルネサンス期と同じく、
石灰モルタルが使われています。
調合も塗り作業も全て作家さんがやっておられます。
さて、西洋の漆喰に戻ります。
現状、市場では先程の語源の説明にもありましたが…
言葉の通り、「なんでもござれ」になってしまっているというのがワタシの感想です。
漆喰という言葉が付けばなんでも健康に見えるからでしょうか?
全ては我が国において「漆喰」に関する
細かな規定がないことが原因しているのですが…
ここで国内唯一?の漆喰に関するキマリ。
日本漆喰協会の漆喰の定義です。
【漆喰の定義】日本漆喰協会では漆喰の定義を下記の通りとする。「漆喰とは、消石灰あるいはドロマイトプラスターを主たる固化材とする塗り壁材料(屋根漆喰も含む)である。且つ、全重量比で消石灰、および、または、ドロマイトプラスターの重量が30%以上でなければならない。」
コレだけなんです。
ということは、消石灰が3割以上入っていることさえクリアできれば
他の成分がどんなものでも「漆喰」と呼べてしまうのです。
近年、インターネットや雑誌広告で様々な「漆喰」が出ており、
見分けもつきませんね。
もともと、漆喰とは我が国、海外に限らず
石灰を塗りつけるだけのものだったのです。
極端にいうと、そのまま水で溶いて塗るだけでも良いわけです。
ただ、それでは塗りにくい上、ひび割れが入りやすい。
そのため、砂や繊維などを配合して作業をしやすくしたわけです。
ところが、我が国においてはその漆喰が独自の変化を見せました。
それが左官の技。
ただ塗りつけるだけの石灰に、技巧をつきつめ、
芸術とも呼べる文化を構築しました。
その中で、
- 鏡のように平滑に。
- 紙のように薄く。
- 髪の毛一本の歪みもなく。
- 顔が映るほど磨きあげる。
- 立体絵画を創りだす。
そのために、海藻のりや細かく手を施した麻、紙などが配合されたのです。
…ちょっとやり過ぎた感もありますね。
では、現在販売されている洋風の漆喰とはどういったものか?
- ほとんどは「漆喰関連製品」または「既調合漆喰」にあたります。
- 海藻の代わりに作業性を与える保湿材など、樹脂が使われているものが多いです。
- 「海外の厳しい基準をクリア」…それはVOC放散などの基準ですよね?
- F☆☆☆☆の認定。それは含んでいる化学物質からの影響が少ない。だけです。
一概にどれが、とは言えませんが
各社が公開している配合や実際の製品を触って見る限り
どちらかというと、塗料やセメントモルタルに近い製品がほとんどです。
ただし、石灰が配合されているので「漆喰なのかな~」と呼べる程度。
カタログでは大変素晴らしいものばかりなのですが…。
それなりの性能を謳っている製品は数ありますが似たりよったりの感があります。
厳密なモノをお求めになるのでしたらともかく、
「漆喰風」でよろしいのでしたら、
いわゆる西洋漆喰(フランス、スイス、イタリア、ドイツなど?)で
それなりの雰囲気が楽しめると思われます。
ただ、極度の化学物質過敏症の方だけは注意してください。
少なからず反応する可能性があります。
なぜかというと
「本当に天然素材100%」の材料は、市場にほとんど流通していませんから。
それでも重度化学物質過敏症の方から相談があることも。
そんな方には、化学物質を本当に含まない(と思われる)製品を紹介しています。