ある行事でのエクスカーションでは、誰もが「へぇ~、凄いね~」と感嘆しながら、観て歩きました。

が…、凄いのは設計者だけじゃないんです。左官だって凄いんです。だって、考えてみてください、コレ、木造ですよ!なのに一見、石造りに見えるわけです。

ほら、4層の塔の部分も当然木造。
木造にモルタル塗って、最後にペンキで着色しただけなんです。
モルタルの目地と各々の質感。
それらを精緻に行ったニッポンの左官をホメるべきでは?

見てください。真っ直ぐから湾曲へ。
一つ一つ、石に見立てたその目地の表情もしっかりと。

ただモルタル塗って線を引いただけでは、こうはならないんです。

中から塔の部分をみると…ほら、円い。丸ではなく円です。
しかも継ぎ目はありません。

分かりますか?円いんです。壁を歪みなく円く仕上げている、その左官の技。

付け加えていうならば、建具もガラスも円いんです。


当然、蔵戸は黒漆喰の磨き。
だいぶ表面が荒れているとはいえ、ほら、まだまだ顔が映るんです。

敷地内に建てられたお稲荷さんの土塀にも粋な瓦の波が…。

「誰も左官さんをホメてくれないな~」と日暮れに寂しくなった私でした。

六華苑は三重県桑名市にある国の名勝です。
桑名駅から徒歩20分。もしくは田町バス停下車徒歩10分。
普通車およびバスが停められる駐車場があります。
ゆっくりご覧になるのがオススメですよ。
左官さんの素晴らしい世界をしっかりとご覧になってください。