海藻から のりを作ってみよう

2017/10/07

おさらい

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漆喰の原料は消石灰。伝統的な漆喰だと、そこに炊いて煮出した「のり」と麻を加えるんです。のりの原料には海藻を使うんですが…それはどうやって作るの?というオハナシ。

ここからDIYでやろうとする方もいるようですが、なかなか難しいんですよ。


海藻のりのつくりかた

海藻を入手

まずは海へ行きましょう。お米の煮汁を使っていたというハナシもありますが、やはり漆喰といえば海藻を使わないと!
 



それらを海から採ってきてしっかりと乾燥させます。


ただし海藻といっても何でも良いわけではありません。採りたいのは「布海苔(ふのり)」「銀杏草(ぎんなんそう)」「角又(つのまた)」など。漆喰に適しているのは、春から夏に収穫したもの。特に東日本の冷たい海に生えていたものが上物とされています。

また、海藻を採るには漁業権が必要な場合もあります。海だから勝手に入っていいというわけではないのでご注意を。
遊泳禁止
遊泳禁止 / kinumi.


何年か寝かせる

海藻の種類にもよりますが、通常、収穫してから乾燥させ、1年から3年は「寝かせ」ます。

新しいままでも溶けますが、決して左官向きのノリには仕上がりません。
「よいノリが出る頃合い」になるまで、しっかり保管しましょう。


のりを炊く

しっかりと熟成させ終わったら…あとは炊いてノリを出す作業。
ただ、工事現場などでコノ姿、見なくなったと多くの方が言いますね。

海藻と水の量は、海藻ごとに調整が必要ですからその都度。
さらに上塗りなのか中塗りなのか、漆喰の塗り方によっても濃さが違いますから、これだけは経験を重ねないと分かりません。


ちなみにプロの職人さんも使っている漆喰の多くは「既調合漆喰」と呼ばれる「水で練れば漆喰の出来上がり!」という、云わばインスタント漆喰なんです。

粉末海藻のおかげ

そこで使われているのが「粉末海藻」。

「鍋で炊いたノリを乾燥させたもの」と記載されていることがありますが違います。インスタントコーヒーのような方法で粉末にしたものでもありません。海藻を煮る代わりに蒸し、乾燥させ、粉にしたものです。

この製品があるおかげで、工事現場で大釜を焚く必要もなくなったんです。


そして、漆喰のノリの役割は…接着剤ではありません
石灰そのままだと塗りづらいから、作業性を良くするための補助材料なのです。

大きな役割は保水と増粘。塗ったものがすぐに乾いてはキレイに仕上げにくいですから、乾きにくくするんです。そして多少の粘り気は作業性が良くなりますね。

といった大変重要な役割を担う伝統素材。
海藻の「目利き」まで含め、誰もが簡単に出来るものでもありません。
国内には数名、海藻に関わる職人さんがいらっしゃいます。

とても貴重な「目と技術」。次世代へ残していかねばなりません。