土佐漆喰の作り方も知っておこう

2017/07/02

おさらい

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先日、琉球漆喰=ムチについてオハナシしながら、琉球漆喰と土佐漆喰とは似ているようで違うと説明しました。

どう違うかというと…
  • 琉球漆喰は石灰+ワラ
  • 土佐漆喰は石灰+ワラ
原料と製法が違うんです。



土佐漆喰は名前のとおり土佐、現在の高知県で、幕末から明治にかけて完成された漆喰であると云われています。

土佐の石灰の歴史は1800年代から盛んになったといわれ、
  • 美農灰(岐阜)
  • 近江灰(滋賀)
  • 野州灰(栃木)
  • 土佐灰(高知)
  • 豊後灰(大分)
などと同じく、江戸後期の文献にも良質な石灰の産地として載っているそうです。

また、2007年には
日本建築学会のJASS15改定により「土佐漆喰」の規定が明確になりました。

土佐漆喰とは
「塩焼き製法による扁平結晶が発達した地灰と、裁断後3ヶ月以上発酵させた稲わら、水を混ぜたものとする」とのこと。

とすると?…そうです。条件さえ満たせば北海道で造っても土佐漆喰。
なので実際に大分で造ってみました(笑)

そんなコトを言うと怒られそうですが、
土佐の方々は心が太平洋のように広いので優しく見守ってくれるはずです。



さあ、土佐漆喰 製造チャレンジの開始です。

まずは、3ヶ月以上発酵させたワラの製造。


ワラはもち米または品種改良される前の旧来種が良いと聞きました。
なので、ワラ屋さんまでもち米のワラを貰いに。

で、ワラを捌いて葉の部分などを取り去り
真ん中の芯の部分だけにします。


穂先や節をキレイに取り去ります。


ワラの一番良い部分だけにしたものの長さを揃えて
水を加え良くかき混ぜます。


水分が蒸発してしまわないようにビニールを被せ準備完了。

これから3ヶ月間、発酵させます。

実際には温度管理と湿度管理をしながら発酵の様子を記録していきました。





観察日記の開始です。
毎日、雰囲気温湿度とワラの温湿度を記録します。


ワラの発酵。

飼料の発酵を研究されておられる方のオハナシでは 
土佐漆喰向けのワラ発酵は好気発酵。
水分調整と撹拌がポイントだそうです。

発酵して…これは1ヶ月経過の様子。


ご覧のとおり、発酵が進み繊維がキレイにほぐれやすく
ワラ由来?のネバネバも出ています。

発酵の専門家も
漆喰用の場合は発酵というより「腐敗」に近いと云ってましたね。

で、3ヵ月後。


3ヶ月以上発酵させたワラの出来上がりです。
原料の準備ができました。

いよいよ土佐漆喰の仕込みです。

ワラと塩焼き消石灰を混ぜて



撹拌と静置を繰り返します。


写真だと白く見えますが結構な黄色に。
それをさらに熟成させれば土佐漆喰の出来上がり。 


どうでしょう?
ワラと石灰だけのシンプルな漆喰ですが、作るにはとても手間がかかるんです。

材料を作るにも手間がかかりますが、塗るにも土佐漆喰独自の技法があるんです。
勇壮かつ繊細な漆喰の作品。これこそが土佐漆喰です。