「漆喰が固まらないのです」というご相談をいただいたことがあります。
それって…どういうことなのでしょうか?
というわけで「既調合しっくい」についてのおさらい。
昭和40年代あたりから、全国の石灰会社が、水で練るだけで出来る粉しっくいの製造を始めました。それらは現在、伝統的な「本漆喰」と区別して、「既調合しっくい」と分類され、多くの現場で使われています。
「漆喰」と呼ばれるものの製品の原料の基本は変わりません。
消石灰 と
麻すさ と
粉末海藻のり
これら3つを混ぜ合わせると基本的なメーカー製漆喰の出来上がり!
…といいたいところですが、ココからさらに様々なものが添加されます。
例えば、天然海藻は不安定なもの。原料が常に一定ではないため、作るたびに性状が変わります。だから、水溶性樹脂などを加え、接着と粘り、保水などを安定させるのです。
また、主原料の消石灰の純度が高すぎる場合には、元々の石灰石の粉(炭酸カルシウム)を混ぜて、その収縮などを緩和します。
ざっと表にするとこんな感じですね。
ただし、基本的な原理原則があるんです。
様々なモノが加えられたとしても、漆喰が固まるメカニズムは「消石灰が固まること」。
そして消石灰が固まるには、空気中の二酸化炭素と反応する必要があります。塗ったものが乾けば固まっているのではなく、そこから空気と触れながら固まっていくんです。
この部分を多くの建築のプロ(自称?)が大きく勘違いしています。
ということは???
冒頭の質問「漆喰がかたまらない」理由は?
周りに空気(二酸化炭素)がないのでしょうか(笑)?
それとも消石灰ではないのかも?
ナニか固まる成分が別に入っていて、それが固まらない?
いずれにせよ、それは漆喰ではないのでは?と。