手間暇をかけてしっかりと材料作りから行うのが、我が国の建築の本来の姿のはずです。

2016/05/22

おさらい

t f B! P L
残念ながらホンモノがなかなか使われていないのが我が国の建築…と、これまでに幾度となくお話してきましたが、なかなかご理解いただけないのもこのオハナシ。

と、いうわけで今日も繰り返し、おさらいです。



皆さんが目にする住まいの「土」や「漆喰」。

天然素材として考えられているこれらの材料ですが、場合によっては各種の補助材料が加えられていることが少なくありません。




が、もともと「土」や「漆喰」は左官さんが自分で造っていた材料なんです。
それも「水で練ったら出来上がり」ではなく、手間暇をかけて。

漆喰であれば海藻のりを炊き、麻すさを叩きほぐして混ぜ入れ、少しずつ消石灰を練りこんでいく…といった具合に、左官さん自ら、丁寧に時間をかけて材料作りから行っていたのが、本来の左官現場の姿だったんです。


そうして造られた漆喰だけを「本漆喰(ほんじっくい)」と呼んでいました。

 …という本漆喰を使う現場、少なくなりました。
素材自体が手に入りにくいのもありますが、費用や環境などの問題もあり、最近は文化財等でしか見られないようになってきましたね。

ちなみに上の写真は「麻すさ」。
これも、もともとは左官さんが自ら作っていた材料です。

手間暇をかけてしっかりと材料作りから行うのが、我が国の建築の本来の姿のはずです。


が、手間暇をかけられないのであれば…

 それぞれの素材のプロに頼む代わりに、
 お金や苦労を払うしかないですよね。

ですが、漆喰にかける手間暇までが惜しまれているので、素材のプロどころか、左官さんのオシゴトまで足りないのが今の世の中。

もっとステキな価値観を持つ方がいる世の中に戻さないといけませんよね??