1000年を超えた「当たり前」。 日本の建築はほったらかしで千年もつものではありません。

2015/12/05

よもやま

t f B! P L
奈良の薬師寺さん。

西岡棟梁の逸話でも知られている金堂。
いつ見ても美しい姿です。


そして特徴的な東塔と西塔。
…という東塔、現在解体修理の真っ最中です。

現在では工事作業用の素屋根にすっぽりと覆われてしまい
中の様子を見ることは難しいですね。


「凍れる音楽」ともいわれる美しい東塔。

塔に限らず、我が国の伝統建築物は保存修理にあたり、
いつの世も、全て解体されてから修繕されることが多いのです。

作りなおすのではなく解体修理。
天平時代から1000年を越えてもなお、使えるものは使われます。

考えてみてください。「何度も使える」んです。
それが我が国で伝えられてきた伝統素材の素晴らしさ。

鉄やプラスチックとは異なり、長い年月を経過してなおその強度を保てる素材。
長い実績がここにあります。


そして、せっかくの薬師寺さん。ぐるっと回って見てみましょうね。

修学旅行の定番コース。
薬師寺のお坊さんのオハナシは「面白い」ことでも有名ですよね。


2003年に再建された大講堂。
AKB48の公演が行われたときには驚きを隠せませんでした。


「不東」の文字が見えるでしょうか?
玄奘三蔵院の玄奘塔。西へ向かう固い決意を表したコトバ。
コトを成した偉人の姿にも出会えます。


様々な建築物に様々な伝統素材。

これらが100年後、1000年後に東塔と同様、
「また使える」素材を使って修繕されていくのです。

1000年を超えた「当たり前」。伝統素材の真の姿の一つですね。