地元で行われるフレスコ画の試みのお手伝いをしました。
フレスコ画。
有名なのはバチカンのシスティナ礼拝堂の天井画である
ミケランジェロによる「最後の審判」。
ヨーロッパにおいて中世から伝わる建築物には
こうした天井画や壁画が何百年も残されているものが多いですね。
その多くはやはりフレスコ画なんです。
と、何度も出て来る「フレスコ画」。
残念ながら、それがどういったものかご存知ない方も多いですよね?
なので、今日もフレスコ画のおさらいです。
フレスコ画は西洋の漆喰、石灰モルタルが使用された絵画の技法です。
フレスコ画とは西洋の絵画技法のひとつ。
最後の審判などルネサンス期の壁画、天井画は
ほとんどがフレスコ画だといわれています。
栃木県石灰石工業会館のフレスコ画「祥雲図」
どんなものか簡単に説明しますと
1.石灰モルタルを塗る
2.生乾きの時に、顔料を水で溶いたもので絵を描く
3.乾いたら出来上がり。
単純ですがかなり難しいものです。
絵の具と違い、重ね塗りして修正できませんし、
下地の石灰モルタルの乾き具合に合わせて塗らねばなりませんし、
材料の調達も難しい。
でも、やってみたいという方多いですよね。
さて、フレスコ画の本番です。
フレスコ画の下地に使われる石灰モルタルはすごく単純なもの。
消石灰と砂を混ぜるだけ。
ただ、石灰と砂の配合比は砂の種類や下地などによって
結構調整が必要です。固さ調整は水加減で。
モルタルを下地に塗りつけます。
左官材と比べるとちょっと硬めですね。耳たぶくらい?
で、おもむろに絵を
描かずに、下絵を描くのです。
あらかじめ用意しておいた下絵をモルタルにのせて写し込みます。
上の写真は下絵に線香でたくさん穴をあけ、
その絵の上から顔料入りのタンポでトントン。
すると点画の下絵が出来上がります。
で、描く。ただし、絵の具は使いません。
顔料だけ。つまり色の粉。
これを水で溶くだけで描きます。
そして石灰モルタルに吸い込まれることで絵になります。
「なんだか染め物みたい」と言ってる人もいましたね。
絵を描ける時間はモルタルが生乾きの間だけです。
乾いた状態のほうがよく吸いこんで…と言われますが理由があるのです。
未乾燥の石灰モルタルに顔料がのせられます。
石灰モルタルからは
石灰の主成分、カルシウムがたっぷり溶けた水が浮きます。
カルシウムが透明の結晶を作り、のせられた顔料を包み込むのです。
だから昔の絵画もキレイなまま残っているわけですね。
これが、絵の具だと?
顔料を溶いた油やニカワなどが傷むと剥げてしまいます。
ちなみに古代からの贈り物ともいわれる約2万年前の壁画、
アルタミラやラスコーの壁画は、天然のフレスコ画ともいわれています。
鍾乳洞の石灰質の岩肌に描いた絵が
そのまま石灰分にコーティングされたわけですから…。