漆喰の「よくあるお問い合わせ」

2014/08/09

おさらい

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でんでん協会こと、「伝統素材伝承支援協会」には伝統素材に関する様々なお問い合わせをいただいています。

特に漆喰についてご相談の多いのは
  1. 原料から製造まで、全てが国産の漆喰ってあるんですか?
  2. 漆喰ってビニールクロスの上に直接塗れるんですか?
この2つ。
あいかわらず、あまりにも件数が多いので今回も「答え」をおさらいです。


まずは
Q1.原料から製造まで、全てが国産の漆喰ってあるんですか?

 A1.不可能ではありませんが…厳密に言えば市販は難しいと思います。
 漆喰は消石灰を主成分に麻や海藻、添加材を加えて造られています。
 
 まずは消石灰。
 漆喰に使われている消石灰のほとんどは「塩焼き」という技法で石灰岩が焼かれています。
 石灰岩は100%国産ですが、燃料となる石炭やコークスは輸入品がほとんど。
 焼成時に使われる岩塩も輸入品が多いのです。
 

 次に麻。我が国では麻の栽培は厳しく規制されています。
 大麻取締法の影響で、大麻以外の麻でも自治体からの規制は大変厳しいものです。
 なので国産「麻」は伝統工芸などに使われるほかは、ほとんど入手できない物です。
 その為、漆喰に使われる麻(=麻すさ)の多くは
 コーヒー豆や香辛料が輸入された時に使われている、
 麻袋をリサイクルして作られているのです。
 

 最後に海藻。国内では北海道や青森、三陸海岸などで採られています。
 が、国内流通のほとんどは韓国産などの輸入品を原料としています。
 

 添加材については触れる必要もありませんね。
 本来は入れるものではないのですから。
 これらの結論から…

 全てに至るまで「国産」がどれだけ難しいのかお分かりいただけたと思います。

 でも、いいんです。

 漆喰は仏教伝来の頃、元々大陸から渡って来たもの。
 伝来当時に使用されていた海藻は朝鮮半島産だったことでしょう。

 我が国は、はるか昔から輸入材料を使ってきた事実があるのです。

 麻も同様。麻袋は「南京袋」と呼ばれていますね?
 江戸時代には南京から南京豆(落花生、ピーナッツ)を輸入していたのです。
 だからその頃から南京袋は漆喰の原料だったのです。
 その証拠に麻すさには「南京すさ」という種類の名称があります。


次に
Q2.漆喰ってビニールクロスの上に直接塗れるんですか?

 この答えは簡単。
 A2.添加材を入れれば可能です。
 天然原料だけを使った漆喰はビニールクロスどころか
 石膏ボードにもマトモに付着しません。
 
 ではどうするか?
 魔法をかけるのです。付着するように魔法の粉を添加。
 要するに接着を助ける添加材を加えればくっつきます。

 では逆に、
 ビニールクロスに直接塗れる漆喰は?

 天然素材100%ではない…ということですよね。
 



でんでん協会は、
伝統素材について「知りたい」という方々の支援を行っている協会です。
同様に、「伝統素材を守りたい」という方々との共同研究も行っています。

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