「漆喰が固まらない」というナゾ。

2014/07/10

伝統素材

t f B! P L
先日、「漆喰が固まらないのです」というご相談をいただきました。

それって…どういうことなのでしょうか?
というわけで「既調合しっくい」についてのおさらい。


昭和40年代あたりから、全国の石灰会社が水で練るだけで出来る粉しっくいの製造を始めました。それらは現在、伝統的な「本漆喰」と区別して、「既調合しっくい」と分類され、多くの現場で使われています。

「漆喰」と呼ばれるものの製品の原料の基本は変わりません。

消石灰 と


麻すさ と


粉末海藻のり


これら3つを混ぜ合わせると基本的なメーカー製漆喰の出来上がり!

…といいたいところですが、ココからさらに様々なものが添加されます。

例えば、天然海藻は不安定なもの。原料が常に一定ではないため、作るたびに性状が変わります。だから、水溶性樹脂などを加え、接着と粘り、保水などを安定させるのです。
また、主原料の消石灰の純度が高すぎる場合には、元々の石灰石の粉(炭酸カルシウム)を混ぜて、その収縮などを緩和します。

ざっと表にするとこんな感じですね。 


ただし、基本的な原理原則があるんです。

様々なモノが加えられたとしても、漆喰が固まるメカニズムは「消石灰が固まること」。


そして消石灰が固まるには、空気中の二酸化炭素と反応する必要があります。
塗ったものが乾けば固まっているのではなく、そこから空気と触れながら固まっていくんです。

この部分を多くの建築のプロ(自称?)が大きく勘違いしています。


ということは???

冒頭の質問「漆喰がかたまらない」理由は?
・・・周りに空気(二酸化炭素)がないのでしょうか(笑)?

それとも消石灰ではないのかも?
ナニか固まる成分が別に入っていて、それが固まらない?

いずれにせよ、それは漆喰ではないのでは?と。