梅雨晴れの中、おおいたの初夏の景色を。
初夏の風景を見ながら少しドライブすると、まだまだ麦畑が刈り残っています。
そろそろ「麦秋」も終わりですね。
実は大分県は国内有数のハダカ麦の生産地でもあるんです。
その用途は…麦といえば?大分の誇る大分麦焼酎などなど。
初夏の風景、大地の恵みに食も住も助けられていることを実感できますよ。
続いて、昨年、世界農業遺産に認定された国東半島の某所です。
農業遺産の認定においてもこの素材について書かれていました。
この素材、なんだか分かるでしょうか?
5月に植えられた苗もかなり伸びているようですね。
実はこの緑のシュッとした植物、畳表になる七島い(しちとうい)という植物なんです。
七島いの「い」は藺草(いぐさ)のい。畳表(たたみおもて)に使われるあのイグサです。
畳なんて珍しくないでしょ?と言われそうですね。
でもね、国産のい草、本当に国産のものは凄く貴重なんです。
さらに、この七島いはもっともっと貴重。
一般に畳表に使われているい草とは種類が違うのです。
備後表、肥後表など名の知られた畳表がありますが、この七島いで織られた畳表は「琉球表(りゅうきゅうおもて)」と呼ばれています。
一番分かりやすい違いはこの姿。断面が三角です。植物学的にもい草はイグサ科。七島いはカヤツリグサ科に属する植物でい草とは異なる品種なのです。
違いはそれだけでなく、丈夫で長持ちすること。
ですから、い草の畳と使い分けられ、客間でなく居間、お店の店先などに使われていたようです。
現在、大分県でもごく数件の農家さんで栽培されているだけ。製品として出荷される畳表は2千枚が限度だそうです。その希少価値から値段も高く、行き先はほとんどが都会のお金持ちの所へ。
また、最近流行りの縁(へり)の無い畳…一般に「琉球畳」と呼ばれていますね?
ですが、本来はこの琉球表が使われた畳を琉球畳と呼ばなければならないのだそうです。
誰もが知らない伝統素材。
けれど、誰かが残していかねばならない伝統と素材でもあるんです。
使ってみませんか?
誰かが使わないと、誰かが必要としないと、無くなってしまうかもしれませんよ。