ニッポンに相次ぐ地震。
被害の状況が色々と報じられる中で、屋根瓦が落ちる被害については賛否両論。
屋根の重たい家はキケン…?そうでないという意見も。
逆に「どうして瓦が落ちてしまうのか?」というオハナシをおさらいです。
瓦が落ちることを説明する前に、住まいのツクリについて知っていただかねばなりません。
我が国の元々の住宅の構造は伝統構法と呼ばれるもの。
代表的なものとしては、礎石の上に柱が立てられ、バランスよく組み合わされた木組みの上から瓦がどっしりと重しをかけることで安定しています。
石の上にい柱がどーんと乗っていますね。
上には瓦がどっしりと乗っています。
ここに地震のような大きな揺れが加わるとどうなるか?
Jenga Junia/ジェンガジュニア by TAKARA TOMY / kawanet
上に重たい部分がありますから、そこを中心にゆらゆらと揺れるわけです。
木組みも縦方向と横方向にしか組まれていませんから、ねじれたりたわんだりしながら、加わった力を揺れることで逃がすわけですね。現在の高層ビルなどに用いられている免震の設計とよく似ています。
が、あまり揺れすぎると建物に被害が出てしまいます。
だから、その場合には「瓦が落ちる」ように出来ているわけです。
上の重みが無くなれば揺れも収まりますね。そして「落ちる」のも揺れの中心となり、積み上げられている部分の棟瓦。
ところが、現代の住宅ではがっちりとした耐震設計が行われています。
家をしっかりと固定するコンクリート基礎。
9/12朝 / yoshimov
家が動かないように家の下でがっちり固定しています。
だから、同様に大きな揺れが加わると?
下は地面にくっ付いている上に、よじれにくく造られているわけですから、足元を固定したまま体だけを揺さぶる状態。洋楽が好きな方にはヘッドバンギングと同じような…と(笑)
この場合は家の「振れ」で瓦が落ちてしまいますね。
だから、家の構造の違いで、同じ地盤の地域でも古い構造の家の方が瓦が落ちていない、不思議なケースもありうるわけです。
また、現代では防災のために瓦を一枚一枚釘で固定する工法が主流になっています。
その場合…棟も平瓦もがっちりと一体化していますね。すると、全ての瓦の重さで家が振り回され、場合によってはその全ての重さで潰されることもあり得るわけです。
古来の伝統構法、現代の在来構法、どちらが地震に対して優れているのか?
屋根が崩れ落ちることが本当に家にとって良いことなのか?
それを議論するつもりはありません。ただ、いずれの構造でも力を逃がす部分がある方が「家」への被害が少ない結果となるように思えます。
だからこそ瓦にはくっ付いて離れない素材よりも、力が加わると取れてしまう漆喰が望ましいと普段から説明させていただいています。
屋根に漆喰。歴史的に長く使われてきた理由は、そういうことじゃないでしょうか?