「ダメったらダメ!」な漆喰の原料

2013/05/26

伝統素材

t f B! P L

この写真、何度もお見せしていますね。

今日もこの件についておさらい。

 


 

でんでん協会の伝統素材セミナーにお越しになったことのある方は

触ったことがありますね?

 

皮麻(かわま)」といいます。
文字通り、大麻の皮を剥いだものです。

 

そうなんです…大麻。

ところが珍しい話ではないんですよ。元々我が国には多くの麻が植えられていたのです。

用途は麻糸、麻ひも、麻布、麻の衣服、細かな繊維は和紙に。いまだに凧揚げに麻糸を使う伝統行事も残っています。

 

凧揚げの糸車 


 

話は漆喰に。

 

漆喰は消石灰に海藻のり、そして麻などの植物繊維を練りこんで造られます。

この植物繊維を「?(すさ)」と呼びます。 

 

中でも最上級とされたのが大麻の皮から直接作った、

「生濱すさ(きはますさ)」や「ポンキ」と呼ばれるもの。

 

同じく、大麻が原料である?のことを「本すさ」と呼んでいました。

 

日本古来の漆喰は、自生する植物を素材として作られていたのですが…

現代では再現が難しいものの一つです。
だって栽培は法律で厳しく制限されていますから。
 
と、いうわけで一般に通している漆喰には、主に海外から輸入されるコーヒー豆やコショウが入っていた麻袋、「南京袋」がリサイクルされたものが使用されています。
 
麻の種類でいえばジュートやケナフ、サイザルなど。
我が国に自生していない海外の素材に頼らざるをえないのです。 

 

 

「昔から変わらない漆喰!」「日本の伝統!」

 
な~んて謳っている漆喰が多く通していますね!?
中身が違うのですから正直に
 「本来のモンではない。」と、どこかで説明すべきです。
 
ただしごく僅か、神事や伝統工芸や伝統行事、文化財などに使われているものがあります。さすがにそれは、簡単に入手できるものでもなく、価格も想像をはるかに超えるものですが…。
 
 とにもかくにも「麻すさ」ただの糸くずではないのです
 
原料となる繊維の種類や長さ、太さ、しなやかさ、強さ、様々な条件によって出来上がった漆喰は、仕上がりも強度も全く違うものになります。
 
こればっかりは素材に触れた方にしか分かりません。
なので、セミナーや勉強会などには、皮麻に限らず、様々な原料素材を持参するようにしています。
 
素材との対話。伝統素材の面白さの一つだと思います。
 
 
商業利用や伝統工芸のために…と大麻を合法化したいと運動している方もいると聞いていますが
…ダメですよ。不逞の輩が多いんですから。