漆喰の原料を調べていると何故かルイ・ヴィトンに

2013/03/13

伝統素材

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海の漁師さんが山で植林しているというオハナシをご存知ですか?

 

ブランド品には興味はなくとも、「森は海の恋人」というコトバで検索すると出て来るのが「ルイ・ヴィトン社が三陸の牡蠣に、環境保全に」という???なハナシです。

 

そしてかつては、そのことが漆喰の原料にも関係する大切なコトでした。

 


まだまだ牡蠣は本番。 美味しい季節が続いていますが…

 


さて、この牡蠣。かつては貝殻が様々に有効利用されていました。

現在も牡蠣殻として肥料などに用いられていることをご存知の方も多いでしょうが、あまり知られていないのは「石灰」にしていたこと。

 

全国各地で牡蠣をはじめとした貝殻を焼いた 貝灰(かいばい)が作られていたのです。

使われた貝はハマグリ、アサリ、カキなどなど多種多様。食べて捨てられる貝殻も当然使われていたのです。

 

 

貝殻を焼いて水と反応させれば石灰岩を焼いたのと同様に消石灰が出来ます。

石よりも火が通りやすいこともあり、重宝されていたようですね。

 

 

時折、文化財修復などで貝灰を探す方から問い合わせをうけることがあります。

実は今では手に入れるのが難しい?大変希少なものになっているのです。

 

製造者の方もごくわずか。

なんとか、それを取り扱っている問屋さんなどを紹介するようにしています。

 

また、近年の修復では、文献をもとに牡蠣灰を探しているケースがありました。

が、残念なことに、左官に使えるものは現存していなかったのです…。

造る方がいなくなったための失われた素材となってしまいました。


 

 

牡蠣の生育のために必要なのは海に流れ出る様々な栄養分。

プランクトンを育み、食物連鎖で海が豊かに。

そのためには山から守っていかねばダメなのです。

 

木を守り森を守り山を守る。

その行為は海を守ることにもつながっていきます。

 


 

山と川、そして海は三位一体。

どれかの環境が狂うだけで他の生態系まで影響するものです。