漆喰の主成分は消石灰。そこに「のり」を加えるんです。
のりは海藻から取り出すんですが…どうやって?というオハナシ。
まずは海へ行きましょう。
お米の煮汁を使っていたというハナシもありますが、やはり漆喰といえば海藻を使わないと!
採りたいのは「布海苔(ふのり)」「銀杏草(ぎんなんそう)」「角又(つのまた)」など。それらを海から採ってきてしっかりと乾燥させます。
海藻の種類にもよりますが、通常1年から3年は「寝かせ」ます。
新しいままでも溶けますが、決して左官向きのノリには仕上がりません。「よいノリが出る頃合い」になるまで、しっかり保管しましょう。
しっかりと熟成させ終わったら…あとは炊いてノリを出す作業。ただ、工事現場などでコノ姿、見なくなったと多くの方が言いますね。
それもそのはず。
市販されている漆喰は「既調合漆喰」と呼ばれる「水で練れば漆喰の出来上がり!」という云わばインスタント漆喰なんです。左官さんが現場で火を使えなくなったということもありますし、それだけの費用を負担してくれるお客も居なくなったということもあります。
そこで使われるのが「粉末海藻」。海藻を煮る代わりに蒸し、乾燥させ、粉にしたものです。
ネットで見ると…誤った認識をされている方が居らっしゃるようですですね。「鍋で炊いたノリを乾燥させたもの」と記載されていることがありますが違いますよ!
インスタントコーヒーのような方法で粉末にしたものではありません。
そして、このノリの役割は…接着剤ではありませんよ。
石灰そのままだと塗りづらいから、作業性を良くするための補助材料なのです。
大きな役割は保水と増粘。
塗ったものがすぐに乾いてはキレイに仕上げにくいです。
なので乾きにするんです。
そして多少の粘り気は作業性が良くなりますね。
といった大変重要な役割を担う伝統素材。
海藻の「目利き」まで含め、誰もが簡単に出来るものでもありません。
国内には数名、海藻に関わる職人さんがいらっしゃいます。
とても貴重な「目と技術」。
次世代へ残していかねばなりません。