漆喰のご相談

2012/08/09

おさらい

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でんでん協会こと、「伝統素材伝承支援協会」には

漆喰を中心とした様々なお問い合わせをいただいています。

 

ご相談の多いお問い合わせは

  1. 原料から製造まで、全てが国産の漆喰ってあるんですか?
  2. 漆喰ってビニールクロスの上に直接塗れるんですか?

この2つ。

あいかわらず、あまりにも件数が多いので

「答え」をおさらいです。


 

まずは

Q1.原料から製造まで、全てが国産の漆喰ってあるんですか?

 

 A1.不可能ではありませんが…厳密に言えば市販は難しいと思います。

 漆喰は消石灰を主成分に麻や海藻、添加材を加えて造られています。

 

 まずは消石灰。

 漆喰に使われている消石灰のほとんどは「塩焼き」という技法で石灰岩が焼かれています。

 石灰岩は100%国産ですが、燃料となる石炭やコークスは輸入品がほとんど。

 焼成時に使われる岩塩も輸入品が多いのです。

 

 

 次に麻。我が国では麻の栽培は厳しく規制されています。

 大麻取締法の影響で、大麻以外の麻でも自治体からの規制は大変厳しいものです。

 なので国産「麻」は伝統工芸などに使われるほかは、ほとんど入手できない物です。

 その為、漆喰に使われる麻(=麻すさ)のほとんどは

 コーヒー豆や香辛料が輸入された時に使われている、

 麻袋をリサイクルして作られているのです。

 

 

 最後に海藻。国内では北海道や青森、三陸海岸などで採られています。

 が、国内流通のほとんどは韓国産などの輸入品を原料としています。

 

 

 添加材については触れる必要もありませんね。

 本来は入れるものではないのですから。

 これらの結論から…

 全てに至るまで「国産」がどれだけ難しいのかお分かりいただけたと思います。

 

 でも、いいんです。

 漆喰は仏教伝来の頃、元々大陸から渡って来たもの。

 伝来当時に使用されていた海藻は朝鮮半島産だったことでしょう。

 我が国は、はるか昔から輸入材料を使ってきた事実があるのです。

 麻も同様。麻袋は「南京袋」と呼ばれていますね?

 江戸時代には南京から南京豆(落花生、ピーナッツ)を輸入していたのです。

 だからその頃から南京袋は漆喰の原料だったのです。

 その証拠に麻すさには「南京すさ」という種類の名称があります。

 

 

次に

Q2.漆喰ってビニールクロスの上に直接塗れるんですか?

 

 この答えは簡単。

 A2.添加材を入れれば可能です。

 天然原料だけを使った漆喰はビニールクロスどころか

 石膏ボードにもマトモに付着しません。

 

 ではどうするか?

 魔法をかけるのです。付着するように魔法の粉を添加。

 要するに接着を助ける添加材を加えればくっつきます。

 

 では逆に、

 ビニールクロスに直接塗れる漆喰は?

 

 天然素材100%ではない…ということですね。

 

 

でんでん協会は、

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同様に、「伝統素材を守りたい」という方々との共同研究も行っています。

 

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