「自分で漆喰を塗りたいけど、どうすれば?」
と、よく質問いただきます。
漆喰というものはとても不思議な素材です。
平らに真っ直ぐ塗ることも出来れば
曲線を描いて丸く塗ることもできます。
時には豪快に
そして時には繊細に
これらの技を日々磨き、卓越したワザを見せてくれる方々。
それが左官職人さんです。
「でも、私、ケッコウ器用なのでキレイに塗れると…」
器用な方なら練習すればキレイには塗れるでしょうね。
しかし必要なのは「塗る」だけでなく「塗り重ねる」技術。
漆喰をシュシュッと塗ることだけが左官さんの仕事ではありません。
下地を造るのです。幾重にも塗り重ねるのです。
最後にキレイに仕上げるためには何でもそうです。
下地や土台になるものが一番肝心。
女性のお化粧だってそうですよね?
ただ塗るだけじゃダメ。
(c) dotorikun|ストックフォト PIXTA
左官のそれは誰にでも出来る技術ではありません。
そしてさらに言えば「漆喰」自体、
マニュアルがあれば塗れるという代物でもないわけです。
漆喰に限らず、釘一本使わぬ大工の技、茅葺きの屋根葺き、漆塗り、
どれをとってもマニュアルを見ながらできるものではありません。
それこそが伝統素材。
素材の特性を見極めること、それを扱いこなすこと、それらも「技術」。
さて、冒頭の質問にお答えしましょうね。
ただ塗るだけなら大丈夫です。
頑張って塗ってください。
ただしキレイに仕上げることや、長持ちさせることは
残念ながらあきらめてください。
素材を活かすのも殺すのも使い手次第なのです。