海藻粉末。
この粉のおかげで我が国の文化が存続しています。
以前も漆喰の製法のついて説明しましたが、
左官でつかう「のり」は海藻を原料としています。
左官だけでなく、様々な伝統産業で使われてきたフノリ。
海藻を煮ることで得られる、保湿剤であり接着剤であったわけです。
本来、着物の糊づけに用いられていたほか
染め物などにも使われてきました。
当然、今でも「ほんまもん」には使われているわけですが…
左官の現場で材料作りから取り掛かれるような現場も
そうあるわけではありません。
そこで、冒頭の「海藻粉末」を使うのです。
国内にわずかですが、海藻のりを造る加工会社があります。
まずは原料の海藻の保管熟成。
…実は海藻は採取してすぐには使えないのです。
早いもので1年、遅いものでは3年以上、乾燥熟成させた後
やっと使えるようになります。
それらを加熱処理し、乾燥させ、粉末に。
その品質が安定するように様々な工夫を凝らしています。
ここまで来ると加工会社ではなく「職人」ですね。
我が国の「のり」は職人さんの目利きと勘、
そして経験と努力で守られているのです。
この方々が居なければ「漆喰」が作れなくなるといっても
過言ではありません。
誰も知られない数少ない専門家(プロ)によって
我が国の文化は守られています。