「素材にこだわる」ということは建築や工芸だけでなく、「食」の世界にも通じることです。
特に様々な添加物が使われている現代、建材よりも食の安全についてはいち早く問題視されましたね。
ですが、昔からの健康食品とされてきたモノも徐々にその製法が変わりつつあるわけです。
今回はその中でも黒砂糖について。
甘くてちょっとクセがあって、美味しいですよね。
(c) larips|写真素材 PIXTA
美味しい上にミネラルが豊富。カルシウムやカリウムがたっぷり。
…なぜでしょう?
それは黒砂糖の作り方に秘密があります。
まずは原料となるサトウキビ。ざわわと生い茂っています。
(c) noa195|写真素材 PIXTA
サトウキビを絞る。昔は絞り臼を牛に回させていたのです。
絞った汁を釜で煮て水分を飛ばします。
写真は沖縄の古民家のかまど。 ちゃんとヒヌカン(火の神)が祀られてます。
で、出来上がり…にはならないのです。
サトウキビのしぼり汁は酸性の液体。中和してやらないと固まらない…。
そこで登場するのが
「食品添加用消石灰」。
昔は藁灰を使ったり、サンゴを焼いた石灰を使ったりしていたそうですが、現在は主に九州で製造された、純度の高い消石灰が黒砂糖の産地である南の島々へ送られているのです。
アルカリ性の石灰を加えることで、中和されるだけでなく絞り汁に含まれた不純物も取り除くことができます。
だから高カルシウム食品。お分かりいただけたでしょうか?
黒砂糖の産地での製造期間は例年10月~4月。
デパートなどでは新物の黒砂糖が売られていますね。
ちなみに新物黒糖を使ったオススメのお菓子は…
今の時期なら、5~6月限定の京都の有名菓子の黒糖味。
一年の間、2カ月だけの限定品ですが、ヤミツキになる旨さです。