漆喰の主原料は「石灰」

2011/04/11

しっくいQ&A

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前回までの説明で、漆喰に共通して使われている原料があります。

そう、漆喰の主原料は石灰なのです。

 

 

 

漆喰には石灰の他、麻すさや海藻のりなどが加えられて出来上がるのですが、実はその成分のほとんどが石灰。

配合の比率でみるとこんな感じ。

グラフの青い部分が、それぞれの「固める」成分。

漆喰の場合は、そのほとんどが石灰。

ちなみにモルタルは半分がセメント。防水材や塗料は樹脂が固まることで出来上がる材料です。

 

 

 

さて、そんな石灰。実際には様々なものがあるんです。

 

石灰岩 全国に鉱山があり、採掘されています。

 

石灰石 岩を砕いたものですね。

 
   
矢印は無視してください
 
 
 
 
 
 
生石灰 石灰石を800~1000℃程度で焼いたものです。
 
 
 
 
 
 
 

  

漆喰に使う石灰は、ちょっと特殊な焼き方が行われています。

この穴、大体直径3m、深さ10m。これが石灰を焼く窯なのです。一般に「土中窯」と呼ばれています。
 
この窯に石灰石と燃料、そして岩塩を加え、「塩焼き」という、江戸時代から伝わる技法で生石灰が出来上がります。
 
 
 
 
 
 
 
 
出来上がった生石灰に水を加えると
 
 
 
発熱しながら反応して粉状に崩れていきます。
 
 
 
 
 
 
こうして出来上がったのが消石灰なのです。
 

 

 

本漆喰、土佐漆喰、既調合漆喰にはこの「消石灰」が原料として使われています。また、琉球漆喰は生石灰に水を加えて消石灰に反応させながら漆喰にしていきます。

そして、その消石灰が硬化することで漆喰が固まる…というメカニズムを形成しています。

 

 

では、固まるまでの化学変化を分かりやすい化学式にまとめてみます。

 

石灰石から生石灰へ

 
 
 
 
 
生石灰から消石灰へ
 
 
 
 

 

消石灰に他の原料を加えた漆喰が硬化するにはCO2を吸収

 

 

 

 

 

 

3つの化学式、よ~く見てください。CaCO3が、また元のCaCO3に戻っています。

CaCO3=石灰石は2度の加工で消石灰になり、自分が吐き出したCO2を吸収することでまた、元のCaCO3に戻るのです。

 

漆喰は二酸化炭素(CO2)を吸収することで固まっていくのです。

 

さて、様々なメディアで、

 

 漆喰はCO2を吸収するから環境に良い

 

と云われていますね。

ですが、それでは説明が足りません。それは石灰石から生石灰に変化するときに自ら放出した分です。正しくは  漆喰は環境への負荷が少ない。と云うべきでしょう。

 

しかし、近年「漆喰」の名で主成分が消石灰ではない製品が数多く通しています。それらは一体?…そのことについてはまた後日説明します。

 

 

さて、次回も漆喰の原料について。

もっともっと漆喰の奥深くまで説明していきます。