2011年3月、千葉県某所で発見された日本最古の漆喰(?)のニュースを憶えている方、どれくらいいらっしゃるでしょうか。
しかし、私のココロの中では日本最古は高松塚古墳壁画のものです。
さて、高松塚古墳壁画の壁画の中でも有名なのが、青龍・朱雀・白虎・玄武の四神と、この「飛鳥美人」ともいわれる女子群像。
そもそも壁画が発見されたのが1972年。そして雨水の浸透やカビの発生などで大騒ぎになったのがこの近年。文化財修復の専門家の方々が様々な知恵と技術を結集して、保存に努めて来られました。
しかし、カビに覆われてしまった残念なニュースも耳に新しいことでしょう。
以前、テレビで紹介された高松塚古墳の壁画修復のため洗浄作業では、なんと布海苔が用いられており、ビックリした記憶があります。
布海苔(=ふのり)ってご存知ですか?
昔から「のり」として使われてきた海藻です。煮出したのりで着物ののりづけ、紙の貼り付けなど、様々なカタチで使われてきました。現在では伝統工芸などで使われるだけでしょうか…。
そして漆喰にも使われてきた海藻のりです。
現在でも一部の地域では必ず「ふのり」を使うんです。
実際に実験したことがあるのですが、海藻を使い分けてみると海藻の種類によって「のり」自体の性状そして漆喰として練ったときの性状がそれぞれ全く異なりました。ふのりを用いた漆喰は、独特の滑らかさと伸び加減…言葉での説明は難しいですね。
とにかく、それにこだわる左官職人さんがいらっしゃるのも頷けます。
…と、海藻の専門的なオハナシは割愛しまして改めて布海苔。
上の写真は普通に食用として売られている乾物です。
そう、食べるものでもあるんです。
名物?フノリラーメン(お食事処 たっぴ 竜飛岬)
ちなみに海藻由来の保湿成分、美容製品にも多用されていますね。
飛鳥美人の美容にも効けば嬉しいものです。
とにもかくにも、「伝統素材が文化財を守る」。
様々なカタチで守り続けています。