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2017/06/04

朽ちてもなお美しいのが伝統素材の魅力

日々、漆喰について説明していますが…「土」についてもたまに(笑)

身近にあるのに最近はなかなか見ることができませんね。建材としての「土」は様々に姿を変えて私たちを取り巻いています。

というわけで、今日は土のおさらい。



築という字は

建築の「築」。「竹・土・瓦・木」から成り立っているとの薀蓄(うんちく)もありますね。
4つの素材があれば家が出来るのです。竹で編んだ小舞に土を塗りつければ壁の完成。その上から漆喰を塗るか塗らないか…もともと漆喰は高級な素材。

昔の住まいは土壁か板壁が主流だったわけです。


実は漆喰よりも「身近な」素材。それが土です。


だって、土のない場所はないのですから。世界中、どの国にも土を使う文化が根付いています。

陶器も土から出来ていますね。コーヒーカップもお皿も、土があるからこそ作られるものであるわけです。

さて、そこまでのオハナシはキリがありませんから、今日は壁としての「土」、とりわけ昔から残されてきた技術「版築」を写真で紹介します。


版築(はんちく)とは

版築とは板で作った型枠に土を突き固め、何度も繰り返しその作業を行うことで土の層を積み上げていく技術。お寺などの土塀でその姿を見ることができます。
新しい間は型枠に使われた木の木目がキレイに残っています。

写真は法隆寺さん。


それが徐々に風化していくと…突き固められた層ごとに削れ始めているのが分かりますね。

兵庫の西宮神社さん。


削れて朽ちてしまうのを防ぐために間に瓦を入れ、水を切る技法も使われています。

唐招提寺さん。


土を使う技術。様々なものが我が国には伝えられています。当然、現在のコンクリート造のものとは耐水性も強度も違いますが、どうですか?

 どれだけ朽ちてもそれが「美しい」と思えませんか?

それこそが伝統素材の魅力。
これからも、もっともっと学び、伝えていきたいと思います。