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2014/05/17

初夏に咲く花と伝統素材と。

初夏に咲くこの花、なんという花かご存知ですか?


何の花だかワタシも知らなかったんですが…桐の花です。

ん?花札の桐は12月だぞ??という方もいるでしょうね。
「ピンからキリ」の言葉通り、年末という意味で「キリ」=桐ということのようですよ。
Hanafuda 花札 05
Hanafuda 花札 05 / 準建築人手札網站 Forgemind ArchiMedia


さて、一般的に桐といえば?

 箪笥(たんす)や下駄(げた)や琴(こと)などに使われる木ですね。
 また、桐油なども…

というのがカンチガイ。桐油はこの桐から採れる油ではないんです。

では、油を採る木は…「シナアブラギリ」といいます。

 「油桐」…そうです。桐油を採る木です。

桐油というと、木材の桐から採ったものと皆さん思っていませんか?
じつは油を採るのはアブラギリという植物の種から採るのです。

ちなみに
 キリはゴマノハグサ目ゴマノハグサ科
 アブラギリはトウダイグサ目トウダイグサ科
まったく違う種類なのです。

アブラギリは西日本、そして中国に自生しています。そして現在、国内の桐油の産地は若狭が有名でしたが、流通しているのは安価な中国からの輸入品が多いようです。

桐油は「塗料」としての用途が多かったようですね。
塗って乾く(酸化する)と油膜を形成します。古くから家具の保護塗料として、雨傘や雨合羽に塗って撥水効果を与え、顔料を加えて絵の具にもされていました。また、地域によっては漆喰にも混ぜられていました。

そのほか漆喰に使われてきた油の種類をもう一度おさらい。
菜種油  
食用でも有名ですね。
最も多用されている漆喰油です。
桐油 
紹介した通り、桐ではなく、「油桐」の実から採った油。
今でも伝統工芸では珍重されていますね。
江戸期あたりからの利用だそうです。
漆喰では島根や鳥取などを中心に。
荏油

荏胡麻油

荏胡麻の種から採った油。
歴史的には、菜種油が使われるようになるまでは、
この油が食用油だったそうです。
韓国焼肉のお店で葉っぱが出てきますね。
亜麻仁
♪亜麻色の長い髪…で知られる亜麻の種から採取したもの。
油絵の具にも使われていますね。
亜麻の茎の繊維は麻製品として使われています。
亜麻は明治の北海道開拓から栽培が始まりました。
魚油
名前の通り、動物由来の油。
イワシなど、青魚を煮詰めて採っていたそうです。
漁村で多用されていたようです。(ワタシの地元もそうです。)
鯨油
クジラから採った油。外国が行っていた捕鯨の目的も油でした。
ペリーさんの黒船来航時に開港させられた表向きの目的も
捕鯨船の給油のためでしたよね?
今ではかなり入手が難しくなっていますが…。

昔からある材料、比較的新しい材料も多いです。
「油」といっても多種多様あるのです。