貴重な左官用石灰。どのように造られているのかご存知ですか?

2014/07/03

伝統素材

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ここのところ琉球漆喰に土佐漆喰。さまざまな漆喰の紹介をしましたね。
これらに共通しているのは原料。漆喰の主成分は石灰なんです。

 漆喰はそのほとんどが消石灰から出来ています。

この白い粉、どうやって作るのか?
今日はその作り方を説明しながらおさらいです。


これが出来上がった「消石灰」。


まずは石灰石を用意します。大きさは大人のコブシくらいですね。


石灰石は石灰岩の鉱山から。
もともとそのほとんどが海の底だった日本。
各地に石灰鉱山があるんです。

まずはダイナマイトでド~ンと。
その後焼きやすいサイズに砕かれます。



まずは石灰石を焼くのですが…

「焼く」には燃料が必要ですね?
左官に使われる石灰を造る際には石炭やコークスが使われています。


石灰石と燃料とを交互に窯(かま)に投入して焼いていきます。
窯は江戸時代あたりから伝えられている「土中釜」というものが使われます。

石を焼く温度は800度から1000度くらいです。


そして焼く時に忘れてはならないのが「塩」です。
塩を加えることで石灰石が収縮しにくくなるほか、還元効率が高くなるのと不純物を取り除くことができます。

石と燃料そして塩を何層にも重ね、竪穴状の窯の中で自然通気でゆっくりゆっくり焼くんです。


3日ほど経って、焼成熱も冷めたところで取り出します。
焼けた石は白くなりましたね。これが「生石灰(きせっかい)」です。


さて焼いた後、今度は水を使います。生石灰に水をかけると…
あーら不思議。高熱を出しながら壊れていきます。
水と反応して化学変化を起こしているんですね。


こうして出来上がったのが「塩焼き消石灰」というものです。


実は石灰は我が国が自給している数少ない鉱物です。
全国ほとんどの都道府県で産出され、生産されているのですが、左官用に作られているこの「塩焼き石灰」の生産は国内数か所、ごくわずかの量です。
残念ながら全国各地で工業的に大量に生産されている石灰は、漆喰には不向きなのです。

ただ石を焼けば原料が出来上がるわけではないのですね。
昔から伝わる「塩焼き」の技法が必要。

これもまた、大切に守っていかねばならない伝統素材の一つです。